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菌癭(きんえい)

公開日:2019.7.4 更新日: 2019.6.26

植物体に他の生物が寄生あるいは共生することによって、その寄生あるいは共生生物が出す刺激に宿主植物の組織が反応して、細胞の増殖や肥大が異常になって発現した異形な器官や組織をえいりゅう(癭瘤)あるいはえい(癭)という。癭も瘤もこぶを意味する。菌癭とは菌類および細菌類の寄生ないし共生によって発現するえいりゅうであるが、ファイトプラズマの寄生によって発現したえいりゅうも含めている。

菌癭は組織形態的には器官癭と組織癭に大別できる。植物体の特定の器官の形成が異常になる菌癭が器官癭であり、分枝や分芽が多発する天狗巣病類がその代表である。この器官癭の芽や枝は健全組織と大差がない場合が多い。組織癭は植物体の一部の組織が肥大増生されてできた癭をいい、肥大性菌癭と呼ばれるものがこれに属する。葉や茎、根などの組織に様々な形状の隆起やこぶを作るもので、こぶの細胞は分裂よりも肥大が顕著であり、特殊な組織の新生はない。
菌癭を外観から大別すると、こぶを作るもの、葉などに肥厚した奇形を生じるもの、枝を叢生させるものの三種になる。

こぶを作る菌癭 根にこぶの菌癭 細菌の共生によって生じるこぶがマメ科植物の根粒であり、細菌の寄生による病的なこぶが根頭がんしゅ病で、糸状菌の寄生による病的なこぶがアブラナ科植物の根こぶ病である。根頭がんしゅは樹木の根際に発生し、サクラ類、バラ、クリ、クルミなどの広葉樹、ヒノキ属、イチイ属などの針葉樹など多種類で発生する。

枝にこぶの菌癭 枝や幹の一部が球形に膨らむ病気をこぶ病といい、糸状菌の寄生によるマツのこぶ病、細菌の寄生によるフジこぶ病やセンダンこぶ病などがある。
枝幹樹皮の一部が肥大隆起して裂け目を生じ、楕円状で表面の粗いこぶが永年維持されるものは「がんしゅ」といい、糸状菌の寄生によるサクラ類のがんしゅ病、イブキのがんしゅ病などがある。

葉や芽と花に肥厚と奇形が生じる菌癭 もち病菌が寄生してもち病を発症したツツジ科植物とツバキ科植物の葉では、成葉の一部が膨れ上がってふくらんだ餅のようになり、若い葉では火ぶくれ状になる。類似した菌癭にモモ縮葉病、ウメ葉ぶくれ病、ナシ葉ぶくれ病、ウメ・スモモ・アンズなどのふくろ実病などがある。トウモロコシ黒穂病は穂が巨大こぶを形成し、その異様さからお化けと呼ばれる。マコモの芽に黒穂菌が寄生して筍状に肥大するとマコモタケになる。

枝や芽が叢生する菌癭 トリの巣状の外観を示す天狗巣病群も菌癭である。サクラの天狗巣病菌は多くの樹種を侵す。別種の菌にササ・タケ天狗巣病があり、ファイトプラズマによるものにキリ天狗巣病がある。

 

『農耕と園藝』2016年12月号より転載

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