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6月の雨と鎌倉のアジサイ

公開日:2019.6.24 更新日: 2019.6.25

みなさま、こんにちは!

編集部のづみたんです。

基本的には晴れの日が好きで、ただそれだけで出掛けたくなる私ですが、実は雨の日にこそ訪れたいと思う場所があります。

それは、6月の鎌倉。

アジサイや花菖蒲が見頃を迎え、ホタルの姿も見られる古道にはウツギやユキノシタなどが咲き、この季節を象徴する花木に雨露がよく合います。

中でも点在するアジサイの名所は、晴天よりも薄雲りや小雨の日こそ、美しさが際立つ場所。例え雨降りでも人が殺到してしまうような風情と魅力が溢れていて、しっとりとした雰囲気に包まれた空気を吸い込むだけで、穏やかな気持ちになります。

ということで、本日は「雨とアジサイ」のお話でも。

 

まずは、由比ヶ浜の鎌倉文学館。

こちらでは約200種類のバラとともに、儚げな表情を浮かべているアジサイを見ることができます。雨に俯くその横顔の美しさに、この日私は何枚シャッターを切ったのでしょうか…!

ドイツ産やフランス産、その他鎌倉にちなんだ名前がつけられた品種などたくさんのバラが咲き誇ります。こちらはフランス産の「レディメイアンディナ」。
淡いピンク色がかわいらしい鎌倉のバラ、「由比小町」。
しかし、この時期はやはりアジサイ。「アナベル」は真っ白な花弁がとても綺麗ですね。
続いては長谷に移動して光則寺へ。同じくアジサイで有名な長谷寺の隣りにあり、瑞泉寺や海蔵寺と共に鎌倉有数の花寺として知られます。
透明感溢れる青色が美しい静岡県天竜川地域のアジサイ、「天竜碧(テンリュウミドリ)」。
色合いの濃淡に見惚れる高知県のヤマアジサイ「羽衣の舞(ハゴロモノマイ)」。
丸みを帯びた形状が愛らしい愛媛県別子(べっし)の宝、「別子テマリ」。
凛とした印象のヤマアジサイ、山梨県安倍峠の「白妙(シロタエ)」。
長野県飯田の品種、鮮やかな赤色が目を引く「クレナイ」。
吸い込まれそうな色合いが一際美しい静岡県浜松市の「天竜千鳥(テンリュウチドリ)」。昔は三河千鳥と呼ばれたことも。アジサイの語源が「藍が集まったもの」を意味するという説にも深く頷きたくなるほどの青の青さです。

次に、江ノ電に揺られた先で程なくして見えて来るのは……

北鎌倉、明月院のアジサイです。

辺り一面淡い青色のグラデーションが非常に見事で歩くごとに圧倒されました。言葉を紡いで発信することを生業としているのに、たまに言葉にならないくらい美しいものに出逢うことがあると困ってしまいます…!
明月院では、境内や庭の所々で神の使いであるたくさんのウサギにも出逢うことができます。見所に溢れたお寺ですが、月からの使者を探して歩くのもまた一興ですね。
ちなみにアジサイは土壌のpH(酸性度)によって花の色が変わり、「酸性ならば青、アルカリ性ならば赤」になると言われています。
紫色の細い覆輪で縁取られたジャパーニュミカコは、清澄沢紫陽花(キヨスミサワアジサイ)由来の育成系統同士を交配して育成されたものです。

しかし、思い返してみると、子どもの頃に雨が降って嬉しいと思ったのは、新しい長靴を買ったとか、お気に入りの傘を差す、といった時くらいでしょうか。

その頃の私は、雨降りの記憶と共に連想されるアジサイに対して、今ほどの心の弾みを感じていなかったように思います。ですが、大人になった現在、当時の長靴や傘のようなときめきをくれるのは、雨天に静かに佇むアジサイでした。

いつもの景色でも、その時々の年齢で見える世界が違うことは、人生の喜びのひとつです。いわば予定不調和のような突然のめぐりあわせが生み出す毎日は、本当に日常を豊かにしてくれますよね。見慣れた日常がぬりえのように色付いていく、この気持ちに名前を付けたいものです。

最後に光則寺名物の「花海堂(ハナカイドウ)」……!と見せ掛けてやっぱりここは見頃のアジサイ!こちらの花海堂は樹齢約200年といわれる古木「かながわの名木100選」にも選ばれている鎌倉市指定天然記念物!4月上旬が見頃ですので、来年はみなさまもぜひ~!

それではみなさま、また次回にお会いしましょう!

編集部のづみたんでした。

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