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幻の「日月桃」

だま
公開日:2019.6.26

こんにちは、だまです。

みなさん、毎日果物を食べていますか? 私は果物大好き人間なので、朝からリンゴ、夕食後にもリンゴ以外の何かをほぼ毎日食べています。夏はナシやモモ、メロン、スイカなどおいしい果物がたくさん出てくるのでうれしいです。ちなみに昨日は、スイカ「姫甘泉」をいただきましたよ。

さて今日は、綱島の『幻の桃』のお話です。

神奈川県・綱島は、明治の終わり頃よりモモの産地として栄えていたそうで、なんでも生産高が日本一になったこともある産地だったとか。綱島がモモの産地として注目を浴びたのは「日月桃」という、当時では珍しい柔らかで甘く、香り高い品種を中心に栽培していたからだそうです。

そんな綱島のモモ「日月桃」は、戦後、一度途絶えはしたものの、地元の生産者である池谷家により復活、現在も少量ながら栽培が続けられているとのこと。一般的なモモより1ヶ月ほど早い極早生種。完熟で販売するため直売のみ、ごく限られた時期しか食べられないため『幻の桃』と呼ばれているそうです。

そんな「日月桃」の存在を教えてくれたある著者から「今なら買えるかも~」と情報が!

果物大好き人間のワタクシは、いそいそと綱島まで出かけることにしました。

神奈川県の綱島といえば、相鉄線、東急線が走り、横浜駅まで十数分で出られる街。この「日月桃」のことを教えていただいた時は「まさか綱島に果樹園があるなんて…」と圃場の存在を疑ったものです。

実際に駅に降り立つと、駅前はビルばかり。「駅から緑を目指して歩けば大丈夫!」と言われていたのですが「緑ってどこかいな?」と駅前でキョロキョロ立ち往生してしまいました。

で、google先生に上空からの写真を提供してもらい、感覚を研ぎ澄ませ、森のような水のような湿ったにおいがする方向へ歩いていくと……おやおや、川辺に出てしまいましたよ。

おお、鶴見川よ。水のにおいは、お前だったのか! この一級河川め、 多摩丘陵が水源なんだってなっ!

気を取り直して付近を歩き回ると…住宅街の真ん中に、フェンスに囲まれた果樹園が見えてきました。フェンスに沿って歩いていくと、ようやく直売所にたどりつくことができました。そしてお目当ての「日月桃」をゲット!

購入する時に「知人に教えてもらって買いにきました。食べられるの、うれしいです」と言うと「明日でもう終わりなんですよ、間に合ってよかったですね」とご主人。販売期間は1週間ほどのようでした。「次は別の品種で、7月中旬から販売しますよ」とのこと。「日月桃」が目当てで来園しましたが、他の品種でも完熟で購入できるならば、また買いに行こうかしらん。

帰りの電車では、袋のなかからモモのいい香りがします。果物を買ってウキウキするのは、このふわ~と香りが漂う時。帰り道も楽しくなっちゃいます。

で、いよいよご対面、「日月桃」様です。添えられた説明書きには「日持ちはしません。当日、もしくは翌日まで。冷やし過ぎに注意」と書かれていました。たとえ日持ちしたとしてもがまんできません。常温のまま、食べちゃいます!

見た目からして繊細なご様子。
皮は手でつるりとむけます。
赤ちゃんのお尻のような美しさ! いただきまーす。
僕にもちょうだいと走り寄る、ペットのヨウム、かんた君(初登場、顔がこわい)。飼い主に似て果物大好きバード。

「日月桃」のお味は…かぶりつくと、ふわっと香りが広がり、雲のように溶ける柔らかさ。甘すぎず、すこし渋めな懐かしの味。今どきの甘くて果肉がみっちりしたモモもいいですが、たまにはこういう昭和な感じのモモもいいもんです。

ごちそうさまでした! ここでKILOパイセンならば可食率を記すところですが、ダメ人間のワタクシは元の重さも量らずにかぶりついたので、可食率は出せませんでしたの、おほほほほー。

貴重なモモをいただきながら、産地の盛衰についてぼんやり考えました。

農耕と園藝の取材で産地にお邪魔すると、「昔は米が中心だったけど、今はトマトに切り替えたよ~」とか「オヤジの世代はメロンとカボチャだけど、自分は他のもので柱を作っていきたい、今、品目を探している」といったお話をうかがうことがあります。

ずっと同じもを作り続け、規模も維持できる強い産地もあれば、時代の流れを読み、あえて新しい品目に切り替える産地もあるそうです。あるいはその土地の事情により産地が消滅するケースも。産地の移り変わりの裏側には、土地と人が折り重なるように刻まれた深い物語があるのかもしれません。

綱島は鶴見川の氾濫や都市開発により栽培面積が徐々に減ってしまったそうですが、そこでふんばって樹を守り続ける、そんな生産者さんの取り組みも追いかけたいと思った週末でした。

 

7月からはカルチべブログの掲出頻度が変わります。すこしゆっくりになりますが、「現場参上」や「新規就農ガンバリズム」など営農寄りの記事を増やしていきますので、これまでと変わらず遊びに来てくださいね!

ではまた次回、ごきげんよう〜✩

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