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水晒し

公開日:2019.8.29

収穫した生物性素材から、食料や衣料品、日用品、什器などを作る際に、素材の持つ不純物を除去するために、水、灰汁(あく)などに浸したり、太陽光に当てたり、雪上に拡げたりすることを晒すといい、その作業を経て作られた製品には、特に晒しの言葉をつけて呼ばれているものがある。晒し綿布、晒し餡、寒晒し粉、晒しくじら、晒し竹、晒しろうなどの例である。晒し綿布は、単に晒しとも呼ばれている。晒す作業に注目する時は、作業に用いる媒体の種類を付して、水晒し、天日晒し、雪晒しなどという。

収穫した農林水産物を食用にするための晒しは、水を媒体とした水晒しで行われる。大量の水を用いて長い時間をかけて不純物を溶け出させて可食化を図る場合と、短時間で少量の水に浸して調理前の下ごしらえとして行う場合とがある。前者では食材を十分な量の水に漬けたり、流水のなかにおいて水溶性の不要物を流出させる。木灰と混ぜ合わせて水漬けする方法も加わり、苦味、えぐ味、渋味、褐変物質や有毒成分を除去するなどの灰汁抜き方法となっている。

クズやワラビの根はつき砕き、水洗してデンプンを集め、トチやカシやナラの実は苦みのあるアルカロイドを水晒しによって除去して、食料にしてきた。タピオカデンプンはキャッサバ苦味種のイモを砕き、水晒しで青酸配糖体を除去して、生産されている。また、魚肉の冷凍すり身製造では、すり身を水晒しすることで、魚肉の臭みや冷凍変性を促進する物質を除去し、弾力を持つすり身を製造する。

後者の少量の水で晒す場合は、野菜を調理する前の下ごしらえとして行われる。渋味や苦みなどの灰汁を抜いたり、辛味や匂いを加減し、歯切れの良さと風味を保ち、鮮やかな色を出すなどのために、水に浸してしばらくそのまま置く。この場合の水晒しは野菜を水に放つ、または野菜を水に取るともいう。灰汁抜きや灰汁止めにはゆでてから水に晒す。生で用いるきざみ野菜や香味野菜は冷水に晒すが、晒した野菜が特有の呼び名を持つものとして、晒し葱、白髪葱、晒しタマネギ(オニオンスライス)、千切りキャベツなどがある。

雪晒しは、雪が紫外線を反射することを利用して、晴れた日に雪上に麻織物や竹細工などを並べて漂白することをいうが、食材では塩漬けした赤唐辛子の灰汁が減少するとして雪さらしが行われる。天日晒しは太陽光の紫外線による漂白作用を利用するものであり、天然の布の漂白や青竹を煮込んで油を抜いた竹を晒し竹にするのに行われる。食材では軟白ニラを収穫直後に天日晒しを行って葉緑素を分解して黄ニラにしている。

『農耕と園藝』2017年2月号より転載

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