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共台、共接ぎと異種接ぎ木

公開日:2019.9.12

果樹、花木、植木などの品種は一般には遺伝的に固定していないので、種子で繁殖させると親と同じ形質を持つものが得られないため、接ぎ木などで繁殖される。

また土壌病害虫に弱い果樹や果菜類の品種では、抵抗性のある種を台木にした接ぎ木苗を用いることで、安定して栽培できる。繁殖や栽培したい品種を接ぎ穂にした接ぎ木苗を得るには、台木と穂木を接いだ切り口がカルス化して接着し、さらに台木と穂木の通導組織がつながって、生きている植物体に育つ必要がある。この接ぎ木の成功を、接ぎ穂あるいは接ぎ木が活着するという。活着した接ぎ木では、その台木と穂木の組み合わせは親和性があるといい、活着しない組み合わせは不親和性であるという。

穂木と同種の植物を台木に用いる時、その台木は共台であるといい、またこの接ぎ木組み合わせは同種接ぎ木であるが、特に共接ぎという。穂と台とが異種の組み合わせは、異種接ぎ木あるいは異属種接ぎ木という。この場合の台木は異種台である。穂木と台木の植物が近縁であるほど、接木親和性が高い傾向があるので、接ぎ木を行う際には、同じ種の穂木と台木を用いるのが一般的である。

そのため、共台の植物か近縁の植物から採取した種子を播いて育てた実生苗が台木に用いられる。挿し木苗が台木用に養成される例は少なく、野梅、マルバカイドウ、アオハダザクラ、イボタ、コブシなど数種に限られる。果菜類では同種あるいは異種の実生苗が台木に使われるが、耐病性などを付与した台木用の専用品種が育成されている。

接ぎ穂が活着せずに枯死するなら完全な不親和であるが、親和性および不親和性は不完全であり、その程度もいろいろである。台負けや台勝ちと呼ぶ、穂木と台木の樹勢の不均衡は不親和とみなされる。また穂木のウイルス感染によって接ぎ木不親和を引き起す後天的な例もある。

スイートオレンジの生産では、共台のサワーオレンジ(ダイダイ)を使うが、穂木のオレンジがトリステザウイルスに罹病すると、増殖したウイルスが台木に下降して発病させるため根の枯死が起こり、不親和を発現する。温州ミカンの台木は異種台のカラタチであるが、この台はトリステザウイルスに抵抗性である。

しかしカラタチ台のポンカン栽培において、ポンカンがエクソコーティス病の病原体ウイロイドを保毒していると台木に移動して台負けを起こし、不親和を発現する。

トマトの接ぎ木栽培でもTMV抵抗性の遺伝子型組み合わせが穂と台で異なる場合には、穂で増殖したウイルスが台に下降して台負けを起こし不親和となる場合がある。

『農耕と園藝』2017年4月号より転載

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