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花菜類(ナバナ、菜の花)

公開日:2019.9.19 更新日: 2021.5.21

野菜を利用部位に基づいて分類する時、根菜類、葉菜類、果菜類および花菜(かさい)類に分ける。

花茎および花蕾を食用とする野菜花菜類であり、ブロッコリー、カリフラワー、カイラン、サイシン、コウサイタイ、ミョウガ、フキノトウ、食用ギク、ホジソ、ハナニラなどがある。

抽苔した花茎の茎ニンニクやワサビの花を食材とする時、ニンニクやワサビも花菜になる。
花蕾のガク片基部内側と花床である芯を可食するアーティチョークも、開花した花を食用とするエディブルフラワーも花菜になる。

これらの花菜では花茎や花序あるいは花蕾や花を直接に食材とする。
しかしアブラナ科植物のツケナ類が抽苔した花茎と花序を野菜として利用する時は花菜であるが、薹立ち前後の若い葉を含む分枝全体を葉物野菜として利用する薹立ち菜や茎立ち菜と呼ぶものでは、葉菜でもあり花菜でもある。

ナバナが開花すると黄色の花弁が十字に展開して菜の花となり、集団で咲いている風景は菜の花畑と呼ばれる。
アブラナ科植物である花菜類のブロッコリー、カリフラワー、カイラン、サイシン、コウサイタイも開花させると菜の花になり、葉根菜類のハクサイ、キャベツ、カブも花は菜の花である。菜の花はアブラナ科アブラナ属植物の花の通称である。

アブラナ属以外のアブラナ科の植物には白や紫の花を咲かせるものがあるが、これを白い菜の花ともいう。
ダイコン、浜ダイコン、ルッコラなどがその例である。

ナバナ(菜花)はアブラナ科植物の抽苔前後の若葉、花茎、つぼみを野菜として利用する時の流通名であり、地方によっては花菜、折り菜、茎立ち菜、摘み菜、油菜などと呼ばれる。
在来ナタネに由来する和種と西洋ナタネに由来する西洋種とに分けられ、和種は花茎とつぼみと葉を利用し、西洋種はおもに花茎と葉を食用にする。

出荷する時の荷姿は、抽苔した花茎に花序とつぼみを主体にして束ねる花つぼみタイプと、抽苔前後の葉と茎とつぼみを一体にした葉物として利用する茎葉タイプとがあり、前者には在来ナタネが、後者には西洋ナタネが利用されることが多い。
和種の染色体構成はAゲノム種であり、洋種はACゲノム種の複2倍体であり、抽苔前の葉菜類ではツケナとしてまとめられている。

ナバナ類の固定品種を挙げると、
おおさきな(大崎菜)、オータムポエム(アスパラ菜)、かきな(かき菜)、くきたちな(フキタチ)、こうさいたい(紅菜苔、こうたいさい)、さいしん(菜心、油菜心)、つぼみな(つぼみ菜)、なばな(なのはな、はなな)、のらぼうな(のらぼう菜)、はなっこりー、みずかけな(水掛菜)、めいけな(女池菜)、はたけな(畑菜)がある。

注:抽出する花茎を意味する「とう」の正字は臺であるが、常用漢字にないので苔の字が当てられる。

『農耕と園藝』2017年5月号より転載

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