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花芽のアボーション、ブラインドとブラスチング

公開日:2019.9.26

分化した花芽が発達途上において発育不全を起こして開花にまで至らない現象は、花芽および花のアボーションまたは座止という。その結果、花芽が育つ位置に芽がない状態になることをブラインドあるいは盲芽といい、花芽として発達しながらもつぼみの状態で枯死した状態になる場合をブラスチングあるいは花蕾の枯死という。盲芽になったシュートや球根はブラインド・シュートおよびブラインド・バルブともいう。

花芽の分化する位置が正常な位置から外れる場合は、正常位置の芽はブラインドになるので花が飛び抜け、花芽が分化した別の位置は花が飛び入りすることになるが、いずれも花飛びと呼んでいる。花飛びのブラインド症状を利用して、植え付け前の球根を高温で処理して花芽の枯死を誘発させ、この球根を栽培して速やかに球根肥大を図る方法があるが、これを球根の花飛ばし法と呼ぶ。

花芽の発育不全を引き起こす要因は、花芽分化の開始から開花に至るまでの間に経過する発育過程のそれぞれの段階で遭遇する不良環境にある。夏期の高温と秋冬期の日照不足が、施設栽培における不良環境である。栽培される作物種が本来持っている環境適応性には広狭があり、また品種改良の程度によって不良環境の影響が異なる。以下に花芽の発育不全が栽培上で問題になる花卉の例を挙げる。

トルコギキョウの花蕾ブラスチングは花芽の雄ずいと雌ずい形成期に発達が停止することで起こり、低照度と高い施肥量により誘導される。低日照になる冬期出荷作型で発生しやすいことから、電照による長日処理や、整枝や摘蕾などの管理作業を早期に行うなどの対応策がとられている。

アジアティックハイブリッドと総称されるスカシユリの園芸種は、花芽形成期の急激な温度変化、特に高温によりブラスチングが発生しやすい。

シンビジウムは夏の高温によって花序の小花はブラインドやブラスチングを起こし、さらには花序が枯死する花飛びが起こる。この座止を回避するために夏(6~9月)に株を高冷地に移動させて栽培する山上げ栽培が行われる。

バラは冬季に収量が低下しやすいが、花芽ががく片と花弁に分化した後に発育停止を起こすブラインド・シュートの発生に起因する。花芽分化期前後の環境と栄養条件を良好にする栽培管理で対応している。

なお、アボーションは園芸では観賞価値や生産物の品質低下の生理障害として扱われるが、植物生態学では中絶と訳され、花の中絶、果実の中絶、種子の中絶などが取り上げられ、不良な器官を間引く繁殖戦略の課題として扱われる。

『農耕と園藝』2017年6月号より転載

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