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落花、落果

公開日:2019.10.3 更新日: 2019.8.21

植物器官が植物体から離れ落ちることを器官の脱離といい、その器官名の頭に落の文字をつけ、落蕾、落花、落果、落葉、落枝などという。

落蕾はつぼみの段階で落ちることをいい、開花した後に花器全体が落ちることを落花という。花芽が発達して花となって開花する時、その花器官での受粉と受精が確実に行われない場合に落花する。まず雌しべの柱頭上に親和性のある花粉が送粉され、その花粉が発芽し、花粉管が花柱内を伸びて胚珠に到達して、雄核と卵が結合して受精となる。受精によって発育してくる胚からのホルモンが果実が脱離するのを防ぐ。落花は植物の種類で異なり、リンゴのような大果の種では花の95%が、ブルーベリーのような小果の種では20~30%が落花する。

果樹では果実の収穫が目標になるので、花は果実になるまでの一過程ととらえ、花の脱離も落果と表現していることが多い。厳密に分けるなら、受精できなくて胚の発生がない状態の子房が脱離する場合は落花であり、胚発生を開始した後の子房の脱離が落果である。花の満開後に始まる初期落果は花の落下であり、果実の生理的落果である早期落果(ジューンドロップ)と後期落果は果実の落下である。

ブドウの花振るい ブドウの花房において、受精できなかった花(不受精花)が異常に多く発生して脱離する場合を、特に花振るいまたは花流れという。落花後の果粒が果房にまばらな状態を花振るいしたとも表現する。

リンゴのカラマツ現象 リンゴの花が咲き終わると不受精花が落ち始めるが、花柄が赤変や黄変して落ち、その様がカラマツの落葉に似ていることから、これをカラマツまたはカラマツ現象と呼んでいる。天候不良などで中心花への受粉に障害が発生すると、不受精花が多発し、カラマツの発生が問題になる。

花きでは観賞価値のある花器官が変色、萎れ、脱離すると花の寿命が終わるという。寿命が花弁の萎れに原因する花が多いが、落花に原因するものにキンギョソウ、デルフィニウム、アルストロメリアなどがある。

落花は花柄や花茎に離層が形成され、その離層内の細胞が離れて離脱する現象である。離層の発達と細胞壁を分解する酵素の生成にはオーキシンの減少、エチレンやアブシジン酸の増加などが関与している。

落果は果実が成熟するまでの途中に親の植物体から脱離することをいう。落果は、機械的落果、病虫害による落果、樹の特性や栄養条件が原因となる生理的落果に大別される。後の二者では一定の位置に形成された離層が発達して落果する。離層のできる位置は果柄が枝についている部位(ナシ、リンゴ)、果実とへたとの間(カンキツ)、果実とへたの間とへたと果柄との間の2ヵ所(カキ)などの例がある。

『農耕と園藝』2017年7月号より転載

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