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『うらなり』の汚名返上! 晩夏にシャリ感抜群のスイカを食べる。

KILO808
公開日:2019.9.10

こんにちはKILO804です。

今年の夏もアツイ、アツイと言っている間におしまい。青果店『むさしや』さんに秋を求めて果物を探しに来ました。終わる夏だというのに、デーンと置かれたスイカ。ちょっと今更スイカを取り上げるのもどうかなぁとつぶやく私に、

山形県尾花沢産のスイカ。品種は『羅皇』。等級は8Lだそう。
この箱がむさしやさんに積んであります。主にカットフルーツとして、病院内にあるコンビニに卸します。

「スイカ、気になるでしょ」

と飯島さん。うん。だって、もうそろそろ秋よ。

「最近までは、晩生のスイカは、『うらなり』って言って、小振りで色も良くないイメージを持っていたけど、最近は、『うらなりの逆襲』って言っていいぐらい、おいしくなってる」

飯島さんによると、空洞果やシャリ感が乏しい晩生のスイカと違い、今の晩成スイカは、実がビッシリと詰まっていて、ボケてなく、シャリ感がしっかりとしているそうです。しかも、甘い!

そんなに飯島さんが言うのであればと、山形県尾花沢産の晩生のスイカを実食してみます。

うらなりの逆襲 その名は『羅皇』。あたっ!

山形県尾花沢産スイカに貼られたシールを見ると『羅皇』と表記されていました。ネットで調べてみると、なんとっ! ナント種苗さんの品種じゃありませんか。

半玉購入も考えたのですが、4分の1カットにしておきました。

ナント種苗さんは、私にとって思い出深い種苗会社さんです。入社2年目の私が、広告部員の頃。25年ぐらい昔の話です。広告代理店の担当さんと2名で、奈良にあるナント種苗さん本社に『農耕と園芸』への出稿をお願いしにうかがった時の事。当時の社長様に「せっかく営業に来てくれたんだから」と、広告のお申し込みを頂いて帰ったという、今思い出しても目頭が熱くなる、本当にうれしかった思い出があります。

そんな、ナント種苗さんのHPで公開されているカタログには、『羅皇』の特徴がかかれています。特に羅皇は、『空洞果が少なくシャリ感が抜群』であることが強調されています。品種特徴として他に、

  • 収穫期まで草勢が強い⇒『ツル持ちが抜群』
  • 2果着果させてもきっちりと肥大する⇒『着果性・玉揃いが良い』
  • 完熟しても果肉の緩みが遅い⇒『甘くてシャリ感が強い』

があげられるそうです。

『ハズレスイカ』を食べた時に感じる残念感を払しょくしてくれる品種特徴です。作りにくさ、市場性なども生産者・市場関係者や小売店、バイヤー、消費者の声を育種に反映させた結果なのでしょう。

半玉購入も考えたのですが、4分の1カットにしておきました。

台所で撮影準備をしている私の後ろで、「早く食べさせて!」と次男が言うので、サックリ切って実食。

甘さがのっているのに、フカフカになった部分がありません。これは満足度が高い。

丸々一個は冷蔵庫に入らないので4分の1にカットしたスイカを買いました。数日間、冷蔵庫で保存しましたが、実がフカフカになってません。品種『羅皇』は、カット販売でもその品種の力を発揮できると思います。飯島さんも、入院している人向けのカットフルーツ需要にもピッタリな品種だと言っていました。

お恥ずかしい、我が家の冷蔵庫野菜室。画像は8分の1カット。嫁が隠しているビールを撤去すれば、4分の1カットでも入りそう。

『羅皇』の特徴であるシャリ感は、甘い部分もしっかりと残っていました。フカフカな部分がありません。細胞壁が熟成しても壊れにくい、ってことなのかしら。この口当たりは最高レベルです。昨今、残暑は必ず厳しめになっているので、体を冷やすためにも晩生スイカの需要は高いと思います。

「タネ食べると、へそから生えてくるよ」と言われ怖かった思い出があります。アリクイのごとく、舌先でタネを掘りながら食べる次男。比較的タネは多くない印象です。

糖度は11度でした。スイカの平均糖度が中心部分で10~12度とされているようなので、甘さは平均的でした。ベタベタする甘さではない分、体を冷やすには丁度良い甘さでした。晩生でここまでしっかりとした品質を出せる産地の方々の力量もあります。すばらしい!

上部よりも下部の方が糖度が高いよ、と飯島さん。計測した部位は上部の中心部分でした。糖度計をみると、11度です。まずまず。

一つ疑問が。『羅皇』って『ホクト』流で、『ナント』だったら『紗宇漸亜』なのでは。なんちゃって。キノコの品種で出てきたりね。

「我が生涯に一片の悔いなし!」と、言えるスイカにであえました。おいしかった。ごちそうさまです。

寝る前にスイカを食べた次男の雄叫び。「こどもは、おねしょをしてなんぼじゃー」。しらんがな。

……というわけで、過去最強とよばれた台風15号。冠水被害や土砂災害、倒木などの被害がネットニュースやSNSで報じられています。読者の皆さんは大丈夫でしたか? 実家は停電で、10日にやっと復旧したそうです。トホホ。

 

次回、KILOの担当は10月3日です。

それではまた、ちがうネタで。

 

追伸

あこがれの『貴陽』。他のスモモにくらべて、やっぱり大きい。重さは199g、可食率は78.3%でした。

スモモの王様『貴陽』をゲット。ちょっと傷んでましたが、食べてみました。憧れの『貴陽』は、モモの香りとともに、酸味はそこそこに、上品な甘みが舌の両脇からフワッと鼻腔をくすぐる。王様のといわれるだけあります。大きいだけではない、旨さを兼ね備えたスモモです。

白い果実の『貴陽』。熟するのを待つと、ほとんど酸味は感じられなくなるほど、甘みが増すように感じます。

農水省が発行している〈広報誌『aff』2019年5・6月号〉によると、品種『貴陽』は、山梨県は高石貴陽園の高石栄貴さんのお父様である故・高石鷹雄さんが品種『太陽』を品種改良して作出されたそうです。むさしやの飯島さんが「『貴陽』は自家受粉しないので、他の品種から花粉を持ってくる。なので手間がかかるんだよね」と言っていた通り、同誌には「品種『ハリウッド』を受粉樹として利用する」とありました。結実率を上げるためなのか、受粉作業を繰り返し行っているそうです。貴陽の枝変り品種『皇寿』という品種もあるようです。収穫は8月中旬から9月初旬とあるので、『貴陽』が終わった後でも入手できるかも。

 

 

参考資料:農林水産省広報誌『aff(あふ)』201956月号
http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1905_06/gwr.html 

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