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秋の訪れを感じさせるアケビ。肉詰めにして食べてみた!

公開日:2019.10.3

KILO814です。消費税が10%に引き上げられました。毎度おなじみ『むさしや』さんでも、消費税率が変わるからか、レジを新調していました。

「でもさ、イートインがないここは、果物は軽減税率で8%だけでしょ」

「いや、それが簡単じゃないんだ。贈答用のカゴは10%なんだ。消費税率が混在することになるんだよね」

「じゃあ、カゴも食べられる素材で作ればいいんじゃない。たとえば、アケビのツルとかで、アケビの実をつけた状態でカゴを編めば、なんとかいける……」

「ムリでしょ。でも、冷蔵庫にアケビの実があるから、もっていくかい」

ということで、今回はアケビを食べてみました。

綺麗な紫色のアケビ。みずみずしい状態のアケビを見るのは初めてかも。季節を感じさせる果物のひとつ、ですね。

知ってるけど、買って食べたことがないアケビ

『むさしや』さんでは、結構仕入れていたアケビ。そんなに売れるのか心配なほど。「朝日町あけび生産組合」さんのアケビを頂きました。ご馳走様です。

私だけでしょうか。アケビをはじめて買いました。山を歩いていると、たまにパカッと実が割れているアケビを目にしますが、販売されているアケビは割れてません。アケビは、9月の初旬に愛媛県産、下旬から山形県産が東京の市場に出回り、10月上旬まで出荷されるそうです。飯島さんによると、品種は『初音』や『若紫』などがあるそうです。今回購入したアケビは、品種『初音』でした。

飯島さんと話してると、「アケビあるのね。もらってくわ」とマダムがお買い上げ。えっ、そんなに需要あるんですか? 飯島さんとこでは1パック800円。決して安くないぞ。
これが、山を歩いていると見かけるアケビの姿。パカッっと割れてる。
アケビの工芸品。ツルを使ってカゴを編んだり。使っているうちに、手の油で良い照りがでてくるんだろうな。捨てるところがないな、アケビ。

「ところで飯島さん。このアケビ、都内のスーパーではあまり見かけないよね。なんでかな?」

「食べ方とかを対面で教える手間が、うちみたいな小さい店だったらできるけど、スーパーではできないでしょ。説明が必要な果物は小売店が得意とするところだよね」

「なるほど。でさ、アケビってどうやって食べるの?」

「半分に切って、中の透明なイモムシみたいなゼラチン状のものを口の中に含んで、タネをプププって出して食べるの。甘いよ。野趣あふれる甘さって感じ。残った部分は、肉詰めにしてフライパンで焼いて食べるとおいしいよ」

なんだか想像できないな。さっそく家に帰って食べてみましょう。

アケビは季節を感じる果物。ほのかな甘みを探る楽しみ

包丁で半分に切り分けると、プルンとした果肉が現れます。なるほど、イモムシだ。中三の長男に食べさせたところ、首をかしげるばかりで。食べ盛りの子供には、旬の食べ物を食すよろこびっていうのが、わからんのでしょうな。私も食べてみました。ゼリー部分と種を口の中で数回転させて、甘さを探します。わずかな甘みを見つけ出し秋を感じる。高尚な食べ物です、アケビ。果色も貴い紫色をしています。

けっして、空腹を満たすための果物にはなりえませんが、違いがわかる大人、季節を楽しめる大人には、とてもよい食べ物だと感じました。ちなみに実だけの可食率は24%でした。残った部分を肉詰めで使用すると83%でした。種以外をすべて食べないと、プラム並みの可食率とはならないですね。

包丁で半分にしてみました。ぷるんとした果実の中に種子が結構な量はいってます。
スプーンですくって、口の中に。種と実を舌で濾すような感じで甘みを堪能します。これは上品な食べ物だ。日本人的。お腹を膨らます食べ物では決してないですね。
飯島さんが言っていたイモムシって、このことか。子供が、ナニコレ―って、指でさわってキャッキャしてます。和菓子のようでもあり、不思議な果物です。アケビちゃん。

今回の核心。アケビの肉詰めを作ってみた!

アケビは捨てるところの少ない植物です。実は果物として、ツルは工芸品の材料として使われます。また、山形県の一部の地域でアケビの新芽をおひたしにして食べるところもあるそうです。アケビの新芽には血圧を下げる効果があるようだと、市場を賑わしたこともかつてあったそうです。

半分に切ったアケビを水洗いして、小麦粉を振り、作り置きのタネを入れます。今回は鳥のひき肉ベースです。「私は食べないわよ」と言いながら調理するヨメさん。
詰めたあと、もう一度小麦粉を振り。バターを溶かしたフライパンで焼きます。バターを使った理由は「味がわからないから、とりあえずバター」だそうです。
ひっくり返して焼き色を見ます。予想以上にいい仕上がり。美味しそうじゃない。「さっすがー、嫁ちゃん」とおだてても、「でも、私は食べないわよ」。はいはい。
ナスのはさみ揚げのような仕上がりの『アケビの肉詰め』。紫色がこれまたいいじゃないですか「保険でケチャップ」と嫁。苦みが強かったので結果、ナイス判断でした。

中三に食べさせました。「肉汁を吸い込んだアケビと肉が合うね」と感想を言ったあと「苦い!」。私も食べましたが、苦味があとから来ます。口の中に入れた触感は、油を吸い込んだナスと肉といった感じですが、苦味が強い。後で調べましたが、湯煎した後、水に2時間ほど漬けてアク抜きをすればよかったみたいです。

疑うことを知らない食べ盛りの中三。嫁が食べないと言ったアケビを喜んで頬張る。「苦い!」。大人の味を知った夜でした。
でもこれ、ちょっとした料亭でだされたら、いいお値段しそうです。アケビの肉詰めを美味しくいただく際は、必ずアク抜き、してくださいね。

 

次回、KILOの担当は11月7日です。

それではまた、違うネタで。

 

追伸

むさしやさんの並び、春日通り沿いにある麟祥院前のロータリーが怪しげ。夜に通るとちょっと怖い。正体は春日局の銅像です。10月14日はここ麟祥院で、文京区主催の春日局像銅像移設の式典が開催されるそうです。食べ物などの出店もあるみたいなので、街歩きがてら訪ねてみてばいかが?

 

 

 

参考URLhttps://www.rinshouin.jp/春日忌/

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