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液果(多肉果)

公開日:2019.11.14

果実の熟す時、果皮が多肉質または液質となるもの液果または多肉果と言い、果皮が乾いて、膜質か薄い皮革質になるもの乾果と言う。

果実は植物学の上では、被子植物において胚珠を包む子房が肥大したものであり、子房壁が果皮となる。
果皮は外果皮、中果皮および内果皮からなる。

子房だけからできる果実を真果と言い、子房以外の組織や部位も加わって果実を構成しているものを偽果と言う。
裸子植物には胚珠を包んだ構造である子房がないので、真果も偽果もできない。しかし、世間一般に通用している果実には、裸子植物の実も含まれ、この場合の果肉部は種皮である。種子の被覆物である種皮は胚珠の頃の珠皮に由来する。

種皮をさらに覆うように珠柄や胎座が肥厚してできる構造があるとき、これを仮種皮または種衣といい、液質ないし肉質の果肉部を構成している。

液果の例を果実一般も含めて以下に挙げる。

  • 漿果(真正液果):内果皮も中果皮も多肉質な液果である。
    ブドウ、トマト、パパイア、キーウィフルーツ、バナナなど。
  • ウリ状果:3心皮性の液果で、花托筒が外果皮と癒合し、中果皮・内果皮は多肉質で海綿状になる。
    キウリ、カボチャ、ニガウリ、メロン、ヒョウタンなど。
  • ミカン状果(柑果):多心皮性の液果で、油細胞を含む外果皮(フラベド)、海綿状の中果皮(アルベド)、膜質の内果皮からなる。内果皮に生えた多数の毛に果汁を貯える。
    ナツミカン、キンカン、レモンなど。
  • ナシ状果(リンゴ状果):多室の子房を包む花托が肥大して多肉となる偽果である。
    ナシ、ビワ、リンゴなど。
  • 核果(石果):中果皮が多肉多汁になり、内果皮が木質化して核(果核)をつくる。
    サクランボ、モモ、ウメ、ハスカップ、センダン、マンゴーなど。
    グミは核果のような偽果で、がく筒が液質果皮で、真果が核のようになる。
  • 液質果皮を持つ集合果:1個の花が持つ複数の雌しべに由来する果実が集まり1果状になる偽果を集合果と言う。
    イチゴ、キイチゴがある。
  • 液質果皮を持つ複合果: 2花以上からできる果実が密着して1果状になる偽果を複合果という。
    クワ、パイナップル、イチジク、トウモロコシがある。
  • 仮種皮(種衣)が液質果肉となった果実には、
    ライチ(レイシ)、ロンガン、ランブータン、マンゴスチン、ドリアンがある。
  • 肉質種皮が果皮の役割を果たす果実には、
    ジャノヒゲ、ヤブラン、モクレン、ザクロ 、イチョウなどの種子がある。

液果の利用は、温帯性果樹では乾燥果実に加工され、熱帯性果樹では調理への利用と生食が多い。
また果実を搾って酒にするには液果のブドウ、リンゴを使うほか、イチゴ、ナシ、ミカン、クワなども用いられる。

 

『農耕と園藝』2013年1月号より転載

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