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樹形

公開日:2019.11.21

幹と樹冠によって構成される樹木の形樹形と言う。樹形は樹種に特有の形があるが、樹齢、生育密度、環境条件によって変化する。
樹木が環境などの影響を受けて、その生活史を反映した樹形と様相を持つ場合には、その樹木の見た目の特性を樹姿と表現して、本来の樹形と比較して、その良否を判断することもある。

樹冠樹木の葉群れの部分であり、茎の枝分かれの積み重ねによってできる空間的な形を指す。
樹冠の側断面を描いたときの形樹冠形と言い、樹冠形が特徴的な樹種では、樹形をこの樹冠形の名で呼ぶ。
樹冠を分類するときは整形と不整形に分け、主幹を中心に主枝が四方に均整に伸びる場合整形不均整なら不整形と言う。

整形の樹形

  • 円柱形(ポプラ、イトスギ)
  • 尖塔形(コウヤマキ、ヒマラヤスギ)
  • 円蓋形(カナリーヤシ、ソテツ)
  • 卵形(ブナ、シラカバ)
  • 杯形(盃)(ケヤキ、トチノキ)
  • 房頭形(ココヤシ、シュロ)

不整形の樹形

  • 枝垂れ形(シダレヤナギ、シダレザクラ)
  • 普通不整形(モミジ、アカマツ)

園芸で樹木を対象とする分野は、造園、盆栽、果樹であり、それぞれの用途に合った樹形が作られている。
この場合の樹形は自然樹形と人工樹形とに大別される。

自然樹形
樹種に特有の本来の形を基本として、育成される樹形を自然樹形という。
この樹形は庭木や植木と呼ぶ造園用樹木で作られる。
自然樹形には柱状形、円筒形、円錐形、傘形、王冠形、尖塔形、株立ち形、楕円型、卵形、盃形、球形、房頭形、不整形、枝垂れ形、ほふく形、つる状形がある。

人工樹形
整枝やせん定によって、利用目的に合った樹形に仕立てる場合は、人工樹形、または仕立て樹形と言う。
庭木の刈込仕立て、盆栽樹形、果樹の仕立ては人工樹形である。
人工樹形の庭木は整形式庭園に多く用いられ、玉作り、段作り、トピアリーなどはその特徴的な樹形である。

盆栽は鉢のなかで老大木の風情を表現するために、自然樹形とは違った樹形になり、これを盆栽樹形と呼ぶ。
直幹、双幹、懸崖、舎利幹などのように、幹を重視した樹形が多い。

果樹の樹形も人工樹形である。主要な果樹のほとんどが、仕立て樹形で栽培されている。果樹の仕立て樹形は、果実の収量と品質を重視するため、樹冠の受光量が多くなるような仕立て方である。そのために、樹姿は開張性が一般的である。しかし、リンゴのわい化仕立てでは、樹形は直立で円錐形になる。

 

『農耕と園藝』2013年2月号より転載

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