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リンゴの『蜜』の入り方は、表面の柄・模様をみたら見分けられるのか?

KILO808
公開日:2019.11.7 更新日: 2019.11.8

こんにちは。KILO808です。食欲の秋到来! 会社の部下くんに、「シャインマスカット食べ放題のバスツアーに行こう」としつこく誘うと、部下くんたちは口では「イイっすね」とか言って、ウェブサイトを検索していながら、結局うやむやに。なんつって、部下は大切にしないと、ね。

さて、部下に相手をしてもらえない窓際管理職のKILOはトボトボといつものむさしやさんへ。

「飯島さん、なにか美味しい果物、入ってる?」

「そうね~、青森県相馬の『サンふじ』が入ってるよ」

飯島さんがリンゴの箱をあけると、甘い香りに包まれました。もうシャインマスカット食べ放題のバス旅行なんて、どうでもよくなります。

おざきりんごセンターにて、光センサー選果(糖度かな?)された「サンふじ」。等級は特選。
かっこいい箱デザイン。リンゴを携えたペガサスですかね。「飛馬(ひうま)りんご」のブランドイメージにピッタリだ。
サンふじの生育の特徴として、膨らむ部分が均等にならない「肩上がり」する傾向が強いそうだ。選果で形をそろえる産地もあるようだが、サンふじについては、飯島さんは評価の対象にしていない。サンふじをまあるく作る技術を持った篤農家もきっといらっしゃるんだろうな。

箱の中を見ると、赤く色づいたリンゴが並んでいますが、よく見ると『柄模様』が違うように見えました。

「飯島さん。表面の感じが、リンゴによって違わない?」

「お、いいところに気づいたね。『サンふじ』は、表面の柄。・模様・質感で、大きく分けて、「縞系(しまけい)」と「着系(ちゃっけい)」があるんだ」

左から、縞系、着系、その中間。ひと箱で3種類が見られた。この柄で、リンゴの蜜の入り方が分かるとは。着系って、ツヤツヤだから、きっとワックスを塗ってるんだと思ったら、天然だったんだ。海外の品種でマッキントッシュ(日本名「旭」)というリンゴがあるけど、着系でたしか酸味が強かった記憶があります。

「本当だ。でもさ、外側の模様は違うけど、味はどれも一緒なんでしょ?」

「そこが面白いところで、模様によって性質が違うんだ。縞系は蜜が入りやすく、甘みが全体に回っている個体が多い。着系は、蜜が入りにくい分、カットした後、綺麗に見えて茶色く変色(褐変)するのも比較的遅いのよ。蜜の部分は変色するのも早いからね。使い道や好みで、縞系と着系を買い分ける人もいるね。加工用では特に着系が好まれるかな」

飯島さんの話では、蜜は美味しそうに見えるけれども、蜜の部分自体はそんなに甘くないとのこと。生育良く甘みが全体に回っている証拠として蜜が表れるそうです。美味しい部分だと思っていたのですが。ググってみると、「リンゴの蜜の部分は甘くない」といったエントリーが多数ありますね。

ということで、模様によって蜜の入り方が違うことと、蜜の部分は甘くないということ。本当かどうか実際に観察してみますかね。

「蜜」の部分は、ほんとうに「蜜の味」なのか?!

縞系と着系を切ってみました。まずは水平に。

水平方向にザクっと切ります。
左が縞系の輪切り。右が着系。蜜の入り方がぜんぜん違う。本当だったんだ。飯島さん、疑ってゴメン。

垂直に切ってみました。縦方向にはこんな感じに蜜が観察できるんですねぇ。面白い。

左が縞系の縦切り。右が着系。

糖度計で、蜜の部分と他の部分の糖度を比べてみました。蜜の部分は、見た目には甘そうに見えますが、はたして、いかに。

1:蜜の部分 2:その他の部分を包丁で切り取り、果汁を搾って計測してみます。
縞系のリンゴ、蜜の部分の糖度は12.5度でした。他の蜜の部分も計測したところ、12度、12.5度でした。
縞系のリンゴ、蜜以外の果実の部分の糖度は、13度。わずかですが糖度が高いことが計測してわかりました。

なるほど、確かに蜜の部分の糖度は、そのほかの部分よりわずかに低いですね。ウェブで調べたところ、蜜の部分の糖は、糖アルコールの一種であるソルビトールだそうです。

ソルビトールの植物体内での機能については、ウィキペディアに記述がありましたが。リンクはこちら

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%AB

とすると、着系は、想像だけど、代謝が停止するのが遅い個体だったんだろうか。表面の柄模様と代謝の停止がどう関係性があるか、調べてみるのは面白いかも。ちなみに、着系の果実の糖度を計測したところ11.5度とでした。縞系より糖度が低いことがわかりました。

なぜ縞系・着系が出てくるのか考えてみると、縞系の甘いリンゴは、人はもとより動物、鳥、昆虫などに食べられやすく、種子が自生地から離れたところに運ばれる可能性が高く、甘くないりんごは足元に落果する可能性が高いのではないでしょうか。様々な地域に子孫をばらまくほうが生存確率が上がるということなのかな。

リンゴの生き残り戦略、なかなか考えられてますな。

皮をむいて並べてみました。左半分が縞系で、右半分が着系。縞系のほうが若い感じ、青みがかっているように見えます。着系は茶色い色が出始めています。私の家では、事前の情報とは異なり、痛み始めは着系のほうが、早いように見えました。
サンプルとして切り出した蜜の部分(左)とその他果実部分(右)。蜜の部分の方が先に茶色に変色してますね。

家族にも縞系と着系を食べ比べてもらった感想をもらい、まとめてみると

縞系

蜜が入っている。全体的に甘みが強い。歯ごたえがしっかりしている。味を楽しめるが量は食べられない。

着系

蜜はわずか。縞系に比べて甘みよりも酸味が強く感じる。歯ごたえは比較的フカフカしている。軽い感じなので二つ三つと頬張れる。

 

外見でこれだけ明確に味を食べ分けられると、選びがいがありますね。だからと言って、店頭で好きなのばかり選んじゃ、ダメよ。みんなでシェアね。 

というわけで、これからリンゴのシーズン真っ盛り。貯蔵ものではない収穫したばかりのリンゴを楽しめるのは今の季節しかありません。リンゴ、たくさん召し上がれ!

次回、KIROの担当は12月12日です。

 

追伸

秋と言ったらこの果物も見逃せません。画像は渋柿『西条柿』。渋抜きのためエチレンガスを充てんして袋詰めに。飯島さんの話では、渋抜きの方法で食感がかわるらしい。渋抜きは、以前はくだもの屋さんの作業だったそうですが、最近ではCA貯蔵ばりのパッケージで流通してるんですね。

追伸2

麟祥院前のロータリーにある、春日の局の像がお披露目となりました。涙を流したり、髪の毛が伸びてみたり。

 

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