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生垣

公開日:2019.12.26

土地や庭での区画、仕切りなどのために設ける線状の建造物を垣(かき)、または垣根と言う。垣根の目的は境界、侵入防止、遮蔽、修景、環境保全などにある。垣根が生きている植物で構成される場合を生垣と言う。生垣は他の材料に比べて、耐久性に優れ、災害時の危険阻止効果が高く、造成費用が安価である上に、四季の変化に応じて植物が生育する美しさと生命感がある。しかし生垣の維持管理には手間がかかり、強度には問題があるので、常に手入れを必要とする。生垣は始めから完成されたものはなく、苗木を植え、その土地の環境に合わせて生育させながら仕立てる。

生垣を分類すると、①構成植物の種数から:単植垣、混植垣、②高さから:高、中、低、③仕立て形から:自然樹形垣、刈り込み垣、玉刈り垣、二段垣、重ね垣、④断面形から:方形垣、梯形垣(台形)、円頂垣、⑤植物の種類と特性から:花垣、果樹垣、つる垣、竹垣、笹垣などに分けられる。

生け垣の分類

単植垣と混植垣:通常の生垣は1種類の樹種で構成されるので、単植垣と言う。2種類以上の樹種で構成される場合は混植垣または混ぜ垣(交ぜ垣)と言う。単植垣では樹種名を生垣の前に冠して呼び名とし、例えばサザンカ生垣と言う。

高生垣:軒下の高さを基準として、高さ3m以上に仕立てたものを高生垣と言う。防風を主目的とするが、防火も目的にするなら葉が厚く水分の多い常緑広葉樹を選ぶ。関東ではシラカシ、シイ、モチノキ、中部や東北地方はイチイ、スギ、関西や九州ではアラカシ、マキ、スギ、サンゴジュなどが用いられる。

中生垣:高と低の中間である1〜3m前後の高さの生垣を中生垣、あるいは並み生垣と言い、単に生垣と言えばこの垣を指す。機能的には遮蔽が主目的である。

低生垣:高さ1m以下を低生垣と言う。通路、花壇、芝生、植え込みなどの区切り、縁取りなどに利用し、仕切りを目的とする境栽垣の機能を果たす。

玉作り生垣:樹木を球形、半円形、玉散らしなどに刈り込み、列植した状態で仕立てた生垣を指す。

段垣:低い生垣の背後に接するように高い生垣を仕立てて、段状に構成した生垣を段垣と言い、その段数から二段、三段、多段垣と呼ぶ。生垣の重層によって、垣根に重厚感が生じる。

重ね垣:高い生垣の裾を補うように、低い樹種で新たな生垣を追加し、高低で異なる樹種の生垣を重ね合わせて、1つの生垣に構成したものを重ね垣または二重垣と言う。2種の生垣が作る上下の垣面は同一面を構成する。生垣では下枝が枯れ上がりやすく、下枝の上がった部分に耐陰性の強い樹種を使って生垣を作り、垣面を整える手法でもある。

 

『農耕と園藝』2013年8月号より転載

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