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ブランチング

公開日:2020.1.9 更新日: 2019.11.11

野菜を冷凍や乾燥品、あるいは漬け物に加工する前に、熱湯もしくは高温水蒸気などによって短時間の熱処理をすることをブランチングと言う。この処理によって、野菜の変色を防止し、緑色を安定して保持することができる。

ブランチングの主効果は、褐変や退色に関わる原料野菜中の酵素類を加熱によって不活性化し、その後の変色を防止すると同時に、葉緑素(クロロフィル)を鮮やかな緑色に変化させる色出しにある。その他の効果として、野菜に付着している細菌を死滅させること、細胞組織を軟化させるので凍結野菜の凍結中に起こる氷の結晶生成による膨張に耐え得ること、などが挙げられる。色出し効果はブランチング中に酵素のクロロフィラーゼがわずかに働き、葉緑素を鮮やかな緑色を呈するクロロフィリドまたはクロロフィリンに変化させることに起因する。なお、ブランチング処理後の加工野菜は、冷水に投入し急冷して、品質の劣化を防ぐ。

野菜の加工過程や加工品の貯蔵中に生じる緑色からの褐変は、葉緑素分子内のマグネシウムが失われて、2個のHに置換された褐色のフェオフィチンやフェオフォルバイドに変化することによる。この変色は酸性の液の下で進む。野菜の漬物では長時間漬け込む時、食塩濃度が低い場合には、酸発酵により漬け込み液のpHが低下して酸性に傾く。漬け物の緑色を保つには、ブランチングやアルカリ側へのpH調整(pH5以上)、低温保持などが行われる。その他の野菜加工品では、炭酸ナトリウムや重曹などのアルカリ剤で微アルカリにする例が多く、この条件ではクロロフィルが鮮緑色のクロロフィリンに変化する。なおクロロフィリンに銅を作用させてできる銅クロロフィリンナトリウムは安定な緑色を示し、緑色の食品添加物として使用される。

湯通し

調理するときにも野菜などの食材にブランチングと同じ熱処理をすることがあるが、これは料理用語で湯通しと言う。葉もの野菜を瞬時に加熱すると、鮮やかな緑色になるので、この湯通しは色出しとも言う。余熱で退色が進むのを防ぐために、湯通し後は冷水に落として急冷するが、この操作を色止めという。野菜の湯通しでは食塩を入れることが多い。ゆで汁に2%以上の食塩が存在すると、緑色が鮮やかになる。これはクロロフィルから褐色のフェオフィチンへの変化を食塩が抑えるためである。

またワカメを湯通しすると赤黒い色から緑色になるが、これは色出しではなく、ワカメが持つフコキサンチンという色素が加熱で変性し、色素としての性質が失われて黒色が消え、残ったクロロフィルが目立つために緑色を呈することによる。

 

『農耕と園藝』2013年10月号より転載

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