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一季咲き性、二季咲き性、四季咲き性

公開日:2020.1.30 更新日: 2019.11.11

多くの植物は決まった開花期を持っており、自然条件下での開花期ないし開花を季咲きと言う。四季がある温帯地域ではその開花期を表すのに季節名を頭につけて、春咲き、夏咲き、秋咲き、冬咲きと言う。季咲きが年に1回の植物は一季咲きと言い、その性質を一季咲き性と言う。1年に2回開花する植物は二季咲きと言い、春と秋とに咲くものが多いので、この二季に咲く形質の代名詞にもなっている。四季にわたって開花する植物は四季咲きと言う。

四季咲きを厳密に適用するなら、年に4回の季節に開花するものを指すべきであるが、連続開花や周年開花を意味する場合にも、四季咲きの用語を用いている。また二季咲き性を示す植物のなかには、生育適温にあれば四季咲き性を発現するが、夏の高温や冬の低温による生育阻害の結果、開花に至らずに季咲きになっている場合がある。このため園芸では二季咲きも四季咲きに含めて扱う場合が多い。

季咲き性が保たれているのは、規則正しく変化する日長の明期と暗期の長さを植物が感知して、花芽の形成を制御していることに基づいている。日照時間が長くなると花芽を形成し始める長日植物と、日照時間が短くなると開始する短日植物とがある。長日植物には春に花を咲かせる植物が多く、アブラナやホウレンソウなどが、短日植物には夏から秋に花を咲かせるものが多く、アサガオやコスモス、イネなどがある。

四季咲き性を示す種には、花芽形成の開始に日長の影響を受けない中性植物がある。中性植物では枝条がある程度生長して一定の大きさに達すれば、いつでも花芽を形成する。この形質は多くの熱帯植物が持ち、日長がほぼ12時間と変化の小さい赤道付近に原生地を持つ植物では、日長の長短に関わらず開花し繁殖するように進化したと考えられる。

四季咲き性の植物は開花期が長く、開花調節が容易であるため、花きではバラやカーネーションのような主要な種をはじめとして、多くの種で四季咲き性の品種を育成してきた。また果実野菜でも周年生産を図る上で、四季咲き性は重要な形質である。

サクラを例にして、季咲き性に関する種および品種を以下に示す。一季咲きはソメイヨシノ、ヤマザクラなど、春と秋の二季咲きはジュウガツザクラ、コブクザクラ、アーコレード、春と冬の二季咲きはフユザクラ、四季咲きにはシキザクラ、仁科乙女などがある。一季咲きのサクラは花芽が形成された後に休眠し、冬の低温にさらされて休眠が打破されて開花に至る。二季咲きや四季咲きも春に開花する時は休眠と休眠打破を経過するが、秋に咲く場合は花芽形成から開花までが連続して進むと考えられる。

 

『農耕と園藝』2014年1月号より転載

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