HOME 読みもの カルチべ取材班 現場参上 カルチべ取材班、野菜・花き種苗改善審査会へゆく⑤「秋まきホウレンソウの部」を知りたい! カルチべ取材班 現場参上 カルチべ取材班、野菜・花き種苗改善審査会へゆく⑤「秋まきホウレンソウの部」を知りたい! 審査会立ち毛ホウレンソウ秋まき 公開日:2019.12.11 更新日: 2019.12.18 みなさま、こんにちは! 本日のカルチベ取材班は、またまた『農耕と園藝』でもおなじみの、「野菜・花き種苗改善審査会」(東京都種苗会主催)の取り組みをお届けするため、東京都農林総合研究センターに現場参上しました。 今回は、久しぶりに訪れる立川本場からお届け! 前回ご紹介した(カルチベ取材班、野菜・花き種苗改善審査会へゆく④ 「業務用コマツナの部」を知りたい!)同様、今回も、今年で第61回を迎えた歴史ある審査会の様子をお伝えしてまいります。 秋まきホウレンソウの審査会 みなさまご存知のとおり、野菜・花き種苗改善審査会は、毎年東京都農業総合研究センター立川本場および江戸川分場で開催されている由緒正しい審査会。品種や栽培品目、栽培技術の向上などに役立てられます。 そして、そんな本審査会で今回対象となるのは、冬の食卓を彩る鮮やかな緑!「秋まきホウレンソウ」です。 本日の主役はコチラです! 秋まきホウレンソウは、年末年始に大活躍する冬野菜としてこれからの季節、需要がぐーんと高まるのはもちろんのこと、機能性食品としての研究も進んでいて、年々注目が高まっています。 また、今回は特に台風19号の降雨の影響などを受け、生育にはかなりの悪条件であったことが懸念されます。そのような状況を踏まえた上で、果たしてどのようなポイントに着目して、審査が進んでいくのでしょうか? 早速見てみましょう! 栽培概要と生育経過 さて、そんな今回の審査対象品目であるホウレンソウの出品点数は、全部で19点(内、参考出品4点)。 詳しい栽培概要は、以下の通りです。 [耕種概要] 供試圃場 洪積畑圃場(表層腐植質黒ボク土) 前作:抑制エダマメ 播種 2019年10月9日 1穴6粒播き ベッド幅70cm、通路70cm、黒マルチ9415を敷設(19,048穴/10a) 間引き 11月1日 1穴3株に調整 区制 1区6.4㎡ 2連制 被覆 播種直後から11月18日まで寒冷紗(目合い1mm)でトンネル被覆 堆肥 1.5t/10a、炭酸苦土石灰 100㎏/10a、N、P2O5、K2Oを成分量でそれぞれ15㎏/10a施用、全量基肥 病害虫防除 東京都病害虫防除指針に従い薬剤を施用 [生育経過の概要] 日照時間は、播種後の10月中下旬で平年より少なく、11月上旬で多く、中旬で平年並みでした。気温は、栽培期間を通して平年より高く推移しました。播種直後の10月12日から13日にかけて台風19号が直撃し、降水量が増え、圃場の一部が冠水しました。 出芽始めは10月13日、出芽揃いは10月17日でした。11月以降、急速に生育が進みました。 発芽直後に一部の品種に苗立枯病がみられました。また、一部にアザミウマによる吸汁害およびヨトウムシ類による食害がみられたため、薬剤により防除しました。 11月15日には収穫期(草丈25cm)に達した品種があり、11月20日には半数以上の品種で収穫期に達しました。播種から本審査日までの生育日数は43日です。 [収穫方法] 第1区は西側の通路、第2区は東側の通路から15穴空けて中央2条を10穴ずつ収穫します。各区(2条×10穴)で、株で約60個体です。 審査が終わった区から順に、収穫作業を進めて行きます。 収獲は手順に沿って、スタッフの方がどんどん作業します。台風19号の被害状況を加味し、審査に差し障りのないよう慎重に判断します。 1区、2区とも収穫が終わると、次は展示審査へと移ります。 [展示方法] ラベルを左肩に置きます。 上段に16穴分をばらさないで展示します。 下段に4穴分をばらして、左から大きい順に並べます。 上段下段に分け、1区から順にホウレンソウを並べて行きます。 ラベルと相違がないよう、周囲とコミュニケーションを取りながら審査方向に向けてそれぞれの通路からホウレンソウを陳列します。 二段の列を交互に見比べながら、展示審査が進行して行きます。 展示審査へ 今回の審査は、立ち毛審査・食味審査を中心に審査が行われました。審査員の方々は、株張りや草丈、葉色などを慎重に吟味しながら配点を行っていました。 展示されているホウレンソウが乾燥して、審査に影響が出ないよう細やかな配慮が行われるのも、葉菜類審査の特徴です。 それぞれの品種の特徴をとらえながら、慎重に審査を行います。みなさん一様に配点に悩みながら、審査結果を提出して行きます。 結果発表 さて、いよいよ気になる秋まきホウレンソウの部の審査結果が発表です!各審査の総合点数を踏まえて、今回の審査はご覧のとおりの結果となりました。 <審査成績表> Ⅰ等 1位 MSS-1212 ㈱武蔵野種苗園 82.08 169.42 251.50 Ⅱ等 2位 ユアーズ カネコ種苗㈱ 80.58 167.67 248.25 Ⅲ等 3位 タフスカイ タキイ種苗㈱関東支店 81.17 160.67 241.84 Ⅲ等 4位 ブラッシュアップ ㈱武蔵野種苗園 79.25 162.50 241.75 Ⅲ等 5位 MSS-1211 ㈱武蔵野種苗園 80.50 161.08 241.58 品目への探求と更なる栽培技術の向上 今回も、以上の結果と講評をもって、審査会は無事終了となりました。 各メーカー同士が切磋琢磨し、意見交換や情報共有が行われる場として毎年開催されている野菜・花き種苗改善審査会。 第61回 野菜・花き種苗改善審査会は、次回の「パンジーの部」をもって一旦終了となります。 現在は、来年2020年に開催される第62回 野菜・花き種苗改善審査会の審査品目の選定真っただ中。一体どんな審査品目が選ばれるのでしょう?楽しみですね。カルチべ取材班も、決まり次第最新情報をお届けしたいと思います! また、今回の「秋まきホウレンソウの部」の審査講評については、本誌「農耕と園藝 春号」(2020年2月23日発売)にて、審査講評を含めた詳しい内容を掲載いたします。こちらもお見逃しなく! それでは、次回の「カルチベ取材班 現場参上」もお楽しみに! 協力/東京都農業総合研究センター立川本場 取材・文/編集部 この記事をシェア 関連記事 2023.10.1 イチゴの流れを変える秩父の「あまりん」 埼玉県秩父市・和銅農園 秩父で人気の観光イチゴ園 埼玉県南西部の山間部に位置する秩父市。その歴史は古く8 […] すずおいCベリーあまおとめイチゴとちおとめあまりんかおりんよつぼし 2023.6.16 松山でアボカドの産地化を実現する、 愛媛県松山市農業指導センター 四国で唯一、市営の農業支援センター 愛媛県松山市郊外の郊外にある「松山市農業指導 […] アボカド栽培フィンガーライム 2023.5.8 初心者も4種の施設園芸が学べるJA周桑経営実証圃 誰もが学べる実証圃 愛媛県西条市丹南町にある、農産物直売所「周ちゃん広場」は、連 […] アスパラガスメロンJA周桑アムスメロン研修生募集経営実証圃