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カルチべ取材班 現場参上

カルチべ取材班、野菜・花き種苗改善審査会へゆく⑥「パンジーの部」を知りたい!

公開日:2019.12.18

みなさま、こんにちは!

本日のカルチベ取材班は、またまた『農耕と園藝』でもおなじみの、「野菜・花き種苗改善審査会」(東京都種苗会主催)の取り組みをお届けするため、東京都農林総合研究センターに現場参上しました。

今回も、前回(カルチベ取材班、野菜・花き種苗改善審査会へゆく④ 「秋まきホウレンソウの部」を知りたい!)に引き続き、立川本場から歴史ある審査会の様子をお届けします!

パンジーの審査会

みなさまご存知のとおり、野菜・花き種苗改善審査会は、毎年東京都農業総合研究センター立川本場および江戸川分場で開催されている由緒正しい審査会。品種や栽培品目、栽培技術の向上などに役立てられます。

そして、そんな第61回審査会の最後を締めくくる品目は、冬のガーデンライフに欠かせない花き「パンジー」です。

本日の主役はコチラ。20種類以上のパンジーが集まると何とも華やかですね。

パンジーは秋~冬花壇の定番品目であり、花壇やコンテナなどに広く活用されています。各種苗会社からはさまざまな花色、草姿の品種が発売されていて、都内生産者の関心も高いです。

そこで、今回はエンドユーザーの関心に寄り添い、8月上旬播種作型におけるパンジーの種苗改善審査会を開催します!

それでは、早速審査の様子をお伝えいたします。

パンジーの栽培概要と生育経過

さて、そんな今回の審査対象品目であるパンジーの出品点数は、全部で21点。詳しい栽培概要は、以下の通りです。

[栽培概要]

  1. 播種・鉢上げ・追肥 2019年8月8日に市販播種用土(商品名:TM-2)を重填した406穴セルトレイ(半分に切断し各203穴)に21品種を播種し(2反復)、9月9日の展開葉が2~4枚時に3.5号黒ポリ鉢へ鉢上げしました。赤土:腐葉土:ピートモス=5:3:2(容積比)を使用し、基肥として用土100LあたりN:58g、P205:158g、K20:54gを被覆肥料、過リン酸石灰で施用しました。追肥は粒状肥料(商品名:オスモコートエグザクト2g/鉢、10月3日)を施用しました。
  2. 温度管理 発芽処理は20℃のインキュベータ内で行い、芽が確認できた時点でガラス温室へ移動しました。育苗および鉢上げ後活着するまではガラス温室内で管理し、側窓は常時開放しました。鉢上げから16日後の9月25日に、露地のベンチへ移動させました。
  3. 病害虫防除 萎凋した花に対してのみ摘み取りを行いました。台風15号上陸の際には、一時、ガラスハウス内に苗を移動しました。審査前日に雨よけを設置し、ブロワーで花弁などの水滴を除去しました。 

<農薬使用歴>

  • 09/09 アルバリン粒 1g/鉢
  • 10/09 アグリメック×500、ダコニール1000FL×1000、アドマイヤーFL×2000
  • 10/16 オーソサイド水80×600、ピラニカEW×2000
  • 10/30 セイビアーFL20 ×1000 

[栽培期間中の天候・生育概要]

<天候概要>

  • 気温:期間を通して暖かい空気に覆われることが多く、気温はかなり高くなりました。
  • 降水量:8月中旬は台風第10号、9月上旬は台風第15号、10月中旬は台風第19号、下旬は台風21号の影響で大雨となりました。その他は平年値を下回りました。
  • 日照時間:前線や湿った空気の影響で曇りや雨の日、台風の発生時は日照時間が少なく、期間を通して日照時間に恵まれた日が多くありました。

<生育概要>

早い品種で播種後3日目から順調に発芽しました。セル育苗時、鉢上げとともに、高温の影響でやや徒長気味でしたが、生育が停滞することなく順調に進みました。最も早い品種で第一花開花日が10月7日、遅い品種で10月19日でした。

[展示方法]

1区あたり5鉢×6列(=30鉢)の2区制で審査をします。

[発芽試験]

  • 公定試験(シャーレ)

発芽試験は、種苗読本(日本種苗協会)の発芽試験基準に準じました。置床粒数は12cmシャーレ1枚あたり種子50粒の2反復とし、11月5日に播種しました。日長は明期12h/暗期12hとし、温度条件は20℃一定としました。発芽調査は播種7日と12日後に行しました。発芽率は出品番号4番を除き概ね8割を超えました。

以上の概要・条件を踏まえ、早速審査です。

当日は、晴天に恵まれ良く澄んだ冬の空気の下、じっくりと対象のパンジーを観察しながら審査を進めることができました。
各社選りすぐりのパンジーが一区と二区に分けられ、所狭しと並んでいます。
野菜と違い、花きは収穫物審査がないので、展示審査の過程で審査の結果が決まります。みなさん、それぞれの揃いや草姿を一つひとつ確認しながら、集中して配点を行っていました。

結果発表

さて、いよいよ気になるパンジーの部の審査結果が発表されます!

各審査の総合点数を踏まえて、今回の審査はご覧のとおりの結果となりました。

<審査成績表>

等1位 F1デルタスピーディーディープブルーウィズブロッチ シンジェンタジャパン㈱ 86.8点

等2位 F1デルタスピーディトゥルーブルー シンジェンタジャパン㈱ 85.9点

等3位 ピカソ クリアイエローインプ タキイ種苗㈱ 関東支店 84.4点

等4位 F1デルタスピーディーピュアイエロー シンジェンタジャパン㈱ 84.4点

等5位 パンジー マトリックス イエローブロッチ ㈱ミヨシグループ 84.4点

[審査講評]

今回、審査講評は東京都農林総合研究センターの菊池正人先生がお話してくださいました。

東京都農林総合研究センター 菊池正人先生

入賞した品種に共通するポイントとしては、花が多く咲いている草姿が整っている、全体の揃いが良いものがあげられるのではないかと思う。

これからはさらに、利用用途に応じて特性を十分発揮できるような品種開発を行うことが重要なのではないかと感じた。

そして、今後も種苗改善に関する取り組みが向上するよう、応援・支援していきたいと感じている。

品目への探求と更なる栽培技術の向上

今回も、以上の結果と講評をもって、審査会は無事終了となりました。

各メーカー同士が切磋琢磨し、意見交換や情報共有が行われる場として毎年開催されている野菜・花き種苗改善審査会。

第61回 野菜・花き種苗改善審査会は、今回の「パンジーの部」をもって終了となりました。年6回にわたって行われる審査会での評価が、私たちが日々目にしている野菜・花きをつくる一つの指標になっていると思うと毎回感慨深い思いがします。

来年も東京都の種苗改善に関する取り組みをお伝えするべく、本審査会の様子を引き続きお届けしたいと思います。

それでは、次回の「カルチベ取材班 現場参上」もお楽しみに!

 

 

 

協力/東京都農業総合研究センター立川本場
取材・文/編集部

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