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就眠運動

公開日:2020.3.5 更新日: 2021.5.21

葉や花弁が昼間は水平に、夜間は垂直になる動きを開閉運動とみなし、昼夜の様子が目覚めと眠りの状態に見えることから、この昼夜の開閉を植物の就眠運動と呼ぶ。

開閉を引き起こす刺激が明らかであれば、この運動は傾性と言い、刺激の種類を頭につけて、光傾性とか温度傾性と言う。
花の開閉例ではタンポポ頭花は光傾性、チューリップは温度傾性である。しかし、昼夜の開閉運動には就眠運動の呼び名が広く使われている。
葉の就眠は明暗の交代によって起こる。

就眠する植物の例を属名で示すと、
スベリヒユ、アオイ、フヨウ、ワタ、カタバミ、ツリフネソウ、マツヨイグサ、サツマイモ、タバコ、オシロイバナとマメ科の多くである。

就眠運動のほとんどが生長運動で起こり、葉の基部にある生長帯の細胞が伸びると、伸びの大きい側面が凸になって屈曲し、背と腹の両面で伸びの大きさが代わると上下運動になって、葉が開閉する。

ところが、カタバミ科とマメ科植物の就眠運動は、葉や小葉の基部の少し膨らんだ葉枕で屈曲する膨圧運動で起こる。この場合は葉枕の細胞が可逆的な容積変化を起こして屈曲する。

マメ科植物では就眠と覚醒の活性物質が見出され、両物質の濃度バランスが昼夜で逆転することで葉枕での屈曲が制御されているという。

葉の就眠運動は明暗だけなく、生長帯の細胞や運動細胞の性質がほぼ1日の周期で変わる生物時計にも支配されている。

 

『農耕と園藝』2010年9月号より転載

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