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先発枝と同時枝

公開日:2020.3.12

木本植物が主軸を生長させながら腋芽を出芽させることを分枝と言い、温帯では腋芽の出芽は母葉の展開を待って主軸より遅れて生長し、その生長様式をカタレプシスと言う。腋芽が数週間の短い休眠期間の後に生長を始める場合には、腋芽の原基が形成された当年の生育期のうちに側枝になる。この様式をプロレプシスと言い、その側枝を先発枝と言う。ところが熱帯の植物では腋芽は形成の直後から休むことなく主軸と同時進行で生長を続けて側枝となる。この生長様式をシレプシスと言い、その側枝を同時枝と呼ぶ。

同時枝は熱帯植物の普通特性であり、その特徴は側枝基部には芽鱗の脱落痕がなく、下段節間が伸長する。温帯で同時枝を生長させる例にエニシダがある。また、モモ、サクラ、イチョウなどのひこばえや実生の幼若相にあるシュートでも同時枝が認められる。

温帯の木本植物では腋芽が通常の側枝に生長するのは、早くても腋芽が形成された翌年の生育期であり、芽で越冬する場合は芽鱗を分化させて防寒対策をとるので、伸長した側枝基部には休芽を覆っていた鱗片葉があるか、その落葉跡が残る。腋芽が形成された当年に側枝になる先発枝の例には、サンザシやスピノサスモモの刺である短枝、メギの扁平葉をつけた短枝がある。また夏の土用に勢いの良い若枝を伸ばし春の葉よりも大きな葉を展開する土用芽および土用枝も、当年生の腋芽に由来する先発枝である。

 

『農耕と園藝』2010年12月号より転載

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