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お正月と江戸東京野菜

公開日:2020.1.10

こんにちは、づみたんです。

年が明けて2020年、あっというまに令和二年になりましたね!

本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

さて、そんなお正月の気配がほんのり残っている本日は「お正月と江戸東京野菜」のお話でも。

 

年末年始の空気感も少しづつ薄まり、日常のしっぽが見えはじめる頃、私は都内・清澄白河の駅から少し歩いた場所にある「深川江戸資料館」へ向かいました。

江東区にある深川江戸資料館は、清澄白河駅から徒歩5分ほどの場所にあります。

深川江戸資料館は、江戸時代の深川佐賀町の町並みを再現した展示室や、小劇場・レクホールなどを備えた文化施設として昭和61年に開業しました。以来、江戸深川に関する歴史・民俗の展示や文化活動の場として人々に愛されています。

江戸の街並みを忠実に再現。屋根の上ではネコがひなたぼっこしていました。

そんな深川江戸資料館ですが、その季節にちなんだ展示が観られるのも魅力的な点。私が伺った日は、ちょうど江戸庶民の年中行事「正月飾り」などを再現する催しが行われていました。

お正月には欠かせない縁起物のレンコンにはじまり……
お正月と言えば畑のクリとも呼ばれる「クワイ」ですね!この季節を逃すと、残りの一年を通して口にする機会がまずないであろう食材です!!私は今年も逃しました!!…は、畑のクリ、食べたかった……。
江戸の人々が暮らす長屋の軒先には、たくさんの植物を育てていた様子が伺えました。江戸園芸の世界、やはり興味深いです。
年越しの夜に供えたものをお正月の三が日に、神様と人が一緒に食す新年の祝い膳であるお雑煮。 江戸では醤油味のすまし汁で、焼いた切り餅やコマツナ、サトイモ、ダイコンを入れていたそうですよ。

時代設定はちょうど江戸時代末期、天保年間(1840年頃)に当たります。年中行事の正月飾りのほか、現在特別イベントとして「全国の雑煮と酒で祝うお正月展」も開催されています。

お雑煮は江戸時代末期に庶民に広がり、地方独自の発展を遂げた習わし。全国津々浦々のお雑煮と地酒が一堂に会する場はそうそうないので、見ているだけでもとても楽しく、勉強になります。

47都道府県のご家庭の味が並ぶなかでも、東北地方のお雑煮に入っていた「塩漬けのわらび」や、関西地方に多い「白味噌仕立てのお雑煮」、都道府県毎に異なる「お餅のかたち(丸餅か角餅か)」などが興味深かったです。特に、関東地方で生まれ育った私には、丸餅はとてもめずらしく、羨ましく映りました!

こちらのイベントの開催期間は、来週の15日(水)まで。週末はお雑煮の試食もできるそうですよ…! 私もお屠蘇の試飲をいただきました。お近くの方はぜひ遊びに行ってみて下さいね♪

お雑煮の横に添えられているのは、福茶。梅干し、煎った大豆、山椒などを入れたお茶で、招福と邪気払いのために飲んでいたそう。
こちらは江戸時代の「練馬大根」。

練馬大根の歴史は古く、江戸時代の5代将軍徳川綱吉が、江戸病(えどわずらい)である脚気を患ったことがきっかけで農民の栽培を命じ、そこから大量生産されることになったという話が残っています。

練馬大根は皆様ご存じの通り、白首大根系の品種で、首と下部は細くて中央が太く辛みが強いのが特徴です。たくあんを中心とした漬物などの加工品に重宝され、その独特の辛みから大根おろしなどにも使われ、江戸東京野菜として愛されていきました。

現在でも、園長でお馴染み練馬区のJAでは、農業祭や直売所で販売を行ったり、練馬大根引っこ抜き競技大会や収穫体験イベントが開催されたりと、練馬大根の魅力を発信するイベントが多数行われていますよね。

また、地場大根である「高円坊大根」と「練馬大根」を交配させ、病気に強い品種として育成されたダイコンが、無病息災を願って食べられる“七草がゆ”などでも大活躍する「三浦大根」であることも有名ですね。

ノビーのブログにも挙がっていた、1月7日の「七草がゆ」が終わった後は、1月15日の「小正月」。

15日の小正月は「花正月」とも呼ばれ、餅花や繭玉、削り花を枝に飾りつけ、豊作の予祝(前祝い)をしたそうです。

こちらはかなり現代的なテーブルコーディネートで彩られていますが、豊作を願い暮らしを彩る文化として形の残るよう、後世にも伝えていきたいですね。

憧れの江戸庶民生活。ちょっとタイムスリップしてみたい気持ちに駆られました。

江戸庶民の生活は堅実ながらもどこか豊かで、遊びを残しつつ素敵な暮らしを実現させていたことが端々から伝わりました。

そして、江戸時代からさまざまな由縁をたどり、現在でも私たちの食生活を支えてくれている農産物を、これからも大切に守っていきたいと感じました。

 

 

だま編集長が年始にゲットした会社近くの神田明神の熊手。2020年もなんだか良いことがたくさんありそうですね……!

さてさて! 今年も「農耕と園藝」そして「カルチべ」を引き続き盛り上げて参りたいと思います。みなさま、どうぞよろしくお願いいたします。

2020年も素敵なお知らせがたくさんできますように……!

 

それでは、また次回お会いしましょう!

編集部のづみたんでした。

 

 

 

参考資料:深川江戸資料館 https://www.kcf.or.jp/fukagawa/

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