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接ぎ木の方法

公開日:2020.4.16 更新日: 2021.4.23

繁殖させたい植物体の枝や芽を切り取り、これを他の植物体に接ぎ合わせて、独立した新しい個体に養成する方法接ぎ木といい、この方法で植物を繁殖させることを接ぎ木繁殖という。
接ぎ合わせる枝や芽接ぎ穂といい、接ぎ木されるほうの植物台木と呼ぶ。また両者を合わせて穂台と呼ぶ。

苗生産に用いる接ぎ木の方法を大別すると、枝接ぎ、芽接ぎ、呼び接ぎ、根接ぎになる。

枝接ぎ

1ないし数芽を持つ枝および茎を接ぎ穂にする接ぎ木法を枝接ぎといい、接ぎ穂と台木の接着面の削り方、合わせ方によって、切り接ぎ、割り接ぎ、挿し接ぎなどがある。

木本の切り接ぎでは、台木上端から側面を切り下げて現れる形成層断面の間に、基部を斜め鋭角に削った穂木を挿入する。草本では茎を穂台とも斜めに切断して接合し、接ぎ木補助具のチューブやクリップなどで保持する。
木本の枝接ぎは冬から春に行い、落葉樹は休眠期の枝を採取貯蔵して穂木とする。

当年生の新梢を穂木として、台木も切り戻して伸びた新梢を用いる切り接ぎは、緑枝接ぎまたは新梢接ぎと呼ぶ。新梢接ぎは6〜7月にブドウ、ブルーベリー、キウイ、バラ、ツバキで行われる。

木本の割り接ぎは、台木上端から中央を切り下げてできる形成層断面の間に穂木を挿入する。草本では切断した台木の茎を中心から切り下げ、穂木は茎の末端をくさび状に削って台木の切り下げ部位に挿し込む。

挿し接ぎは草本のナスなどで行われ、台木の茎の切断面から斜めに爪楊子などで孔をあけ、穂木基部は円錐状に削って台木の孔に挿す。

芽接ぎ

芽を持つ樹皮を木質部もつけて削ぎとって穂木とし、台木の側面(腹)の樹皮を剥いで、露出させた木質部に接着して接ぎ合わせる方法を芽接ぎという。
台木樹皮にT字形の切れ込みを入れて、樹皮を開いて接ぎ芽を挿入する盾芽接ぎ(T字形芽接ぎ)と、台木樹皮に舌状の切れ込みを入れ、そこに接ぎ芽を挿すそぎ芽接ぎがある。
芽接ぎは8月下旬から9月に、モモ、ウメ、バラ、モクレン、ハナミズキで行われる。

呼び接ぎ

穂木を母樹から切り離さず、根のある穂台の茎の一部を削り、その削り面を密着させて接着をはかる方法を呼び接ぎという。
活着後に穂木は接合部の下で、台木は上を切除して一つの個体にする。
草本では台木の茎を上から下へと半分ほど切り下げ、穂木は茎を下から上に半分ほど切り上げる。
穂台の切り口をかみ合わせて、接合部を接ぎ木クリップで止める。

根接ぎ

茎に接ぐより根の部分に接ぐと活着の良いものや、適当な台木がないときに根を台にして枝接ぎを行う方法を根接ぎと言い、ボタン(シャクヤク根台)、ヤマボウシ、サンシュユ、ハナズオウ、ツルウメモドキで行われる。

 

『農耕と園藝』2014年6月号より転載

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