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人間拡張技術の最先端企業「H2L」 新型システム発表&遠隔農業体験会リポート

公開日:2023.9.29

H2Lの開発担当の中山雅野さんにこのコントローラ開発の経緯を伺ってみた。

「体験者の腕に装着しているコントローラの開発は、弊社社長玉城絵美の研究であるボディシェアリング技術からはじまっています。ボディシェアリングは簡単にいうとロボットなどを通して「体験を共有する」ことで、音や映像だけではなく、人の筋肉の状態と、自分が今、どのくらい腕を伸ばしているかという「固有の感覚」を相手と共有することでより臨場感のある体験を共有しようとすること、人と人の体験共有を意味します」

ボディシェアリングという固有感覚を共有するためのデバイス、アームバンド型コントローラ。筋変位センサーを搭載しており、装着者の腕の筋肉の動き(変位)を検出する。筋肉の力の入れ替わりを読み取ったコントローラが遠隔地にあるロボットアームへその動きを伝達する。

中山さんはこう続ける。

「社会課題として、人が都会に集まりがちとなっており、地方の農地では人が集まらないという現象が生産者を悩ませています。でも農地を動かすわけにはいかない。そして農業従事者は減っていく一方、という身近な課題に対して、この弊社の技術を使うことで解決できるのではないかと思ったことからはじまったのがこのプロジェクトなのです」

こうした遠隔就労の問題解決となりうる一方、違った役割も担えるのでは、と中山さんは言う。

「たとえば障害があったり、長期入院中の子供であったり、またこのコロナ禍では持病のある人にとっては外出が困難な状況にある方がいらっしゃると思います。そういう方でも社会と接点を持って、遠隔操作により観光農園などでイチゴ狩りなどができたら、体験をしながら成長していくことができるのではと考えるところもあります 」

体験会では障がいを持つアスリート達が練習と遠隔操作を繰り返し、収穫体験を楽しむ姿が幾度も見られた。

まず、体験者は練習ゾーンでスタッフとともに15分程コントローラの装着具合などを確かめつつ、簡単な操作練習をする。そのあと体験ゾーンで実際の遠隔操作に臨む。プロジェクターの画面は、イチゴ農園を模したH2Lのオフィスに設置したロボットアームだ。

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