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陽葉と陰葉

公開日:2021.6.11

葉が発育するときの光の強さが葉の形態に違いをもたらすとき、強光下で形成される葉を「陽葉」、弱光下で形成される葉を「陰葉」という。
陰葉は大形ながら幅の狭い葉身で薄く葉柄が長い。
陽葉は小形ながら幅広の葉身で厚くなり葉柄が短い。

葉の内部組織は、陰葉では表皮のクチクラ層や柵状組織の発達が不良であるが、海綿状組織は割合によく発達している。これに対して、陽葉は柵状組織がよく発達する。

樹冠の内部の葉や北側につく葉は陰葉になりやすく、樹冠表面の葉や南側の葉は陽葉になりやすい。

陽葉と陰葉は同一個体の普通葉の位置関係に由来する葉形変化であり、これを不等葉性という。

陽葉は陰葉に比べ光合成能力が高く光補償点および光飽和点に要する光度が大である。これは光環境に応じて葉緑体の構造と集光色素のクロロフィルの組成も変化し、陰葉は全体に集光システムを発達させた形になっていることが関係する。
このように光条件に応じて形態を変え、生理生態的に適応すること順化という。

陽葉と陰葉の不等葉性は主として木本性の種属で認められ、ブナ・ヤツデなどでは明瞭に現れるが、典型的な陽性植物のカンバ類などでは明らかな陰葉は作られない。

草本で直上茎をもつオオアレチノギクやセイタカアワダチソウでも、葉身の長さについては陽葉・陰葉の区別が認められるが、その不等葉性は大きくない。

 

『農耕と園藝』2002年8月号より転載

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