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薬剤摘果

公開日:2024.3.15

果樹栽培においては、着果過多になると隔年結果を引き起こしたり、果実の品質の低下を招く。これを防ぐために行う摘果は栽培上の重要な作業となっている。

「薬剤摘果」とは、木全体に薬剤を散布し、樹体や葉に害を与えず、一部の幼果だけを落果させようとするものである。このためには同じ木の中で発育程度や着果位置の差などによる幼果の間の薬剤に対する抵抗力の違いを利用し、適期に最適濃度の薬剤を散布しなければならない。

しかし、その効果は多くの環境要因(温度・湿度など)および木全体の内部要因によって左右されるため、まだ確実で安全な薬剤は見出されていない。現在のところは、安全な範囲で薬剤摘果を行い、残りについては人手で摘果するという、補助手段としての利用が進められている。

わが国で実用化されているものはデナポン(リンゴ)、石灰硫黄合剤(リンゴ・モモ)、エテホン(西洋ナシ)、エチクロゼート(ミカン)、ナフタレン酢酸ナトリウム(ミカン)などがある。

開花期間に散布する石灰硫黄合剤などは薬剤によって雌しべに障害を与え、花粉管の伸長を阻害し受精不可能にするため、幼果の落果を引き起こす。

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