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【関西 果実】極早生ミカン

公開日:2023.10.23

筆者が小学生の頃は運動会のおやつの定番と言えば青いミカンだった。

時期としては、運動会が行われたのは9月中旬~下旬くらいだったように記憶しているが、ミカンと言えば木枯らしが吹く寒い時期にコタツに入って食べるものだったから、この時期に食べるミカンは熟す前に収穫した青いものだと思っていた。

しかし、これは極早生ミカンという冬のミカンとはまったく違うもので、ちゃんと熟してから収穫したものだった。当時の極早生ミカンは酸味が強く、甘みはほとんど感じられなかったため、余計にそう思ったのかもしれない。

極早生ミカンが普及しはじめたのは1970年代のオイルショックのときに、ハウス栽培のミカンの石油使用量を減らす目的のため、早生品種の「宮川早生」のなかで突然変異によって早熟する枝を選抜して作られはじめたのがきっかけだそうだ。筆者が生まれたのと同じくらいだから子供の頃に運動会で食べた極早生ミカンは誕生して間もなかったのだろう。

正確な品種などは今となってはわからないが、子供が食べておいしいと感じる甘いミカンではなかったのは間違いない。

その後、年を重ねてもミカンは、やはり寒い冬に食べるものだというイメージが強かったため、積極的に極早生ミカンを買って食べた記憶はない。

子供の頃に経験した刷り込みというのは、なかなか拭い去ることはできないもので、極早生ミカンは酸っぱくておいしくないと思ってずっと生きてきたのだが、今の仕事に就くようになってから仕事でもいろいろな果物を食べる機会が増え、食べてみると意外と甘くておいしいということがわかった。

それでも真冬のミカンや蔵出しのミカンに比べると、それらを超える甘さやおいしさがあるわけではないのだが、年々各産地でも品種改良が進み、なかにはセンサーをとおして糖度11度以上を謳うブランドの品種も誕生している。

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