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第6回 獣がいフォーラム 「市民の力で変わる  獣がい対策への新しいアプローチ」レポート(後編)

公開日:2024.4.6 更新日: 2024.4.12

去る3月2日、表題のフォーラムが開催された。前編で紹介した基調講演に続いて行われたパネルディスカッションの登壇者たちの活動を紹介する。

生産者では気づきにくい価値を見出して
関係人口の増加を促す

生産者以外の人間が参加するようになると、生産者では気づかない価値を見出すことも期待される。そのことを私たちに教えてくれたのが、兵庫県立篠山東雲高等学校長澤莉子さん西村綾音さんだ。同高校では先輩の代から丹波篠山で開催されている「獣がい対策実践塾」に参加。そこで収穫された放置柿を利用してジャム作りを行っている。長澤さんがこう説明してくれた。

「カキの木が植わっていても、多くの果実が収穫されないまま放置されていて、サルを誘引する原因になっています。獣害対策として放置されたカキを早期に収穫しているのですが、一度に大量に収穫されたカキをすべて消費することはできません。私たちは放置柿を原料にジャムを製造することにしました」

このため同高校は農産保存食料品の加工・製造業の許可を得て、放置柿だけでなく、名産品の丹波黒大豆、丹波栗の原料にジャムも製造。ふるさと納税の返礼品として購入できるようになっており、実際、遠方からも購入されているという。西村さんがこう続ける。

サルを誘引する原因となる放置柿の他、名産品の丹波黒大豆、丹波栗を原料にしたジャムの試食会が行われた。

「私たちが早期収穫を行った畑地区で収穫できるカキの量は54〜81tにもなります。このカキをジャムに加工して、販売したら、どれほどの収益が見込めるのかを試算したところ、15億8000万円〜23億7000万円の利益が得られると推測されました」

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