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植物病の病徴と標徴

公開日:2019.8.22

宿主の植物に寄生して病気を引き起こす寄生生物を植物病原体といい、病原体が菌類であるものを病原菌という。植物病の大半は糸状菌と呼ぶ菌類が病原菌である。糸状菌とは菌糸を基本体制として、分枝した菌糸の集団である菌糸体で栄養生長し、胞子で増殖する菌類をまとめた呼び名である。

宿主の植物体内で病原体が増殖すると、宿主の組織や器官に肉眼的に識別できる異常な変化が表れ、これは病的な変化であるので病徴という。病徴には宿主植物の個体全体に現れる全身病徴と、部分的に現れる局部病徴とがある。

全身病徴に徒長(節間が過度に伸長し、軟弱なシュートに)、萎縮(シュートの節間が伸長せずに短縮して葉は小形に)、萎凋(シュートが急激に萎れる)、苗立ち枯れ(幼植物の苗が地際部で軟腐し、植物個体が枯死)などがある。

局部病徴に斑点(壊死した不定形の組織が局在し、輪郭は明瞭)、斑紋・汚斑(斑点に似るが、輪郭が不明瞭)、輪斑・輪紋(斑紋に似るが、褐色で同心円状の濃淡のある病斑)、せん孔(斑点の壊死組織が脱落して小孔になる)、枯れ(葉、枝、花などの一部や全体が急速に褐変枯死。葉枯れは葉焼けとも。幹が枯れると胴枯れという)、先枯れ(シュート先端から壊死)、根腐れ(根系の一部あるいは全体が壊死)、そうか(壊死した病斑は細かくひび割れてかさぶた状)、潰瘍(茎や果実などの組織が壊死し、不定形の凹んだ斑紋状)、軟腐(果実や塊根、塊茎などの組織が壊死し軟化)、乾腐(果実、塊根、塊茎などの組織が壊死するが軟化しない)、縮葉(葉組織の不均等な肥厚により、葉にしわが寄って湾曲)、根こぶ(根が肥大し、紡錘状やこん棒状に)、こぶ(茎や葉、果実、花などの組織の一部あるいは全体が肥大)、天狗巣(わい化シュートが叢生)などがある。

病原菌による病気では、植物体の表面に胞子などの繁殖体が形成されて特異な外観を示すことがあり、これを標徴と呼ぶ。病徴は組織の形態的変化であるが、標徴は繁殖体の集団が示す外見的特徴を指す。

粉状物(胞子が粉状の集塊となって植物体表面に出現。うどん粉病、さび病が例)、菌糸体(菌糸が繁殖して発病表面を覆う。灰星・灰色かび・ベと病)、菌糸束(菌糸が束状、網目状となって広がる。白絹・白紋羽・紫紋羽病)、点状物(子のう盤、分生子殻、分生子層、子座などの繁殖器官が点状物となる。うどん粉・炭そ・つる枯・胴枯病)、粘着物(胞子塊などの粘質物が発病面に出現。炭そ病)、菌核(菌糸が密集し、黒色や褐色の様々な大きさの菌核が出現。白絹・菌核・雪腐れ菌核・灰色かび病)、子実体(小椀状の子のう盤やきのこなどの子実体を形成。菌核・ならたけ病)などがある。

『農耕と園藝』2017年1月号より転載

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