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カルチべ市場動向

【関東 切り花】バラ

公開日:2023.11.17

そこで大田花きでは、生産コストと再生産価格が見合うように、バラの主要な取引チャネルである仲卸と定期取引を拡大している。仲卸は小分け、小ロット販売や再分配機能を持ち、地方市場、業務、専門店、店頭といった幅広い取引先がある。バラは婚礼や生け込みなど業務需要があるため、仲卸の取引先とマッチするだろう。これまでは、生産者が魅力的だと思うバラをいくつか生産したとしても、1株当たりに切れる本数や生産面積当たりの売り上げなどを考えたときに、コストの回収が難しければ品種を絞らなければならない場合があった。しかし、生産地と販売先で定期契約を結ぶことで、収支を計画的に立てることができ、安定した生産が行える。これまで生産性の問題で選択できなかった新たな品種にも挑戦できる可能性が見えてくる。

実はこのような取り組みにはSNSによる情報発信が一役買っている。生産地の現状を発信していくことで、燃料費の高騰など生産コストへの理解が深まり、取引につながった例が上述の仲卸との定期契約だ。SNSで見かけた花に興味を持ち、仲卸から市場に注文が入ったケースもある。このようなことからSNSによる発信の効果は高いことが窺える。

そこで、バラはホームユースとして伸びしろがあるため、品種の紹介と一緒に、部屋に飾ったときの風景画像や、購入後に長く楽しめるような管理方法を発信するのはいかがだろうか。付加価値が生まれると同時に、生活者が家で飾るイメージを描きやすくなるのではないかと思う。また需要が落ち着く時期でも、例えば香り、葉の美しさ、日持ち性の良さなどをアピールすることで、バラという選択肢を消費者に絶えず発信していくことができるだろう。

著者プロフィール

倉光里佳(くらみつ・りか)
株式会社大田花き花の生活研究所研究員。株式会社大田花きでロジスティック部を経て現職に至る。花き業界唯一のシンクタンクとして調査、情報発信事業を行う。業界マーケティング資料であるフラワービジネスノートを制作・販売している。

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