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硫黄くん蒸

公開日:2020.1.23

密閉した空間で薬剤をガス状に気化させ、有害生物の駆除や殺菌あるいは漂白に用いる方法がくん蒸(燻蒸)であり、薬剤に硫黄を用いる場合を硫黄くん蒸と言う。

硫黄くん蒸は硫黄を燃やして発生する二酸化硫黄が有効成分であり、これが水に溶けると亜硫酸水溶液になるので、無水亜硫酸とも言い、一般には亜硫酸ガスと呼ばれる。亜硫酸ガスが果実などに接触すると、果皮の水分に溶けて亜硫酸水となり、その還元作用で酸化を抑制して果皮を漂白する。したがって乾果はきれいに仕上がり、菌やかびの繁殖も抑えられるので、乾燥果実の製造などにおける変色防止を目的として硫黄くん蒸が行われる。

亜硫酸は有害物質なので、食品中の二酸化硫黄としての残存量が食品衛生法で規定されている。カンピョウでは製品1㎏当たりの二酸化硫黄は5g未満、干しガキなどの乾燥果実では2g未満、干しブドウは1・5g未満、乾燥ジャガイモは0・5g未満、果実酒で0・35g未満と定められ、野菜とゴマおよび豆類では使用が禁止されている。

干しブドウのなかに『ゴールデンレーズン』と呼ぶ黄金色の製品があるが、これは品種「サルタナ」の果実を二酸化硫黄に曝して漂白し、火力乾燥で仕上げたものである。

干しガキ作りでは、剥皮したカキ果実の20〜26個をロープに挟んで吊るしたものを連と言い、連を木製箱に収納して硫黄くん蒸する。くん蒸はタンニン物質の酸化を防いでカキ表面の黒変を防止し、微生物の発生を抑え、乾燥を促進する。硫黄の量と燃焼時間は、生ガキ100㎏を基準にして、市田柿では1㎥当たり硫黄を10g、平核無では15〜20gで、いずれも15分間のくん蒸とし、西條柿では5・5gで10〜20分間のくん蒸を行う。あんぽ柿製造では120〜150㎏の柿容量に硫黄30gで30分間のくん蒸を行う。

カンピョウは見た目と保存性を良くするために、乾燥途中で硫黄くん蒸して漂白する。これにより乾燥品は白く仕上がり見栄えが良く、変色防止、防かび、防虫、殺菌の効果も生じ、繊維が硬くなり保存性も高まる。くん蒸は専用に設置したビニルハウス内で行う。帯状に剥いだユウガオ果実の果皮は、竿掛けして天日干しすると、帯状からひも状になる。その日の夕方に干し竿に集めて束ねた状態にして、くん蒸用ハウスに搬入して密閉し、入り口近くの地面に置いたフライパンなどの容器内で、硫黄を紙に載せて燃やす。

翌朝にくん蒸用ハウスを開放して、束ねたカンピョウを干し竿ごと干し場に運び、2日目の乾燥を行う。この乾燥を地干しと呼ぶ。地干し後の夕方から2回目の硫黄くん蒸を行う。燃焼させる硫黄は40㎏の製品に対して80gが標準であるが、2回目のくん蒸には40gが推奨される。くん蒸後に天日乾燥させると亜硫酸は放出されるので、外気に曝してから収納する。

 

『農耕と園藝』2013年11月号より転載

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