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渡辺和彦の篤農家見聞録

番外編「水田転作のポイント教えます! 省力多品目栽培のすすめ」

公開日:2023.7.3 更新日: 2023.6.30

省力栽培を可能にした
ポイントとは

次に、転作した圃場に案内してもらった。栽培品目は図の通りで周年栽培をしている。ただし、真冬は育苗ハウスを利用しての少量栽培となっている。

取材当時(2022年8月)は直売所にもあったオクラとナス、収穫が遅れたジャガイモ等が旬を迎えていた。土をかける手間が労力となるため、超浅植えのマルチ栽培をしており、マメトラで耕うんするだけと清田さんは言う。ジャガイモの脇ではニンニク、ソラマメを栽培。とくにマメ類の連作はご法度と言われるが、すでに3年の連作を実現できている。土の手入れを怠らなければ連作は可能、と清田さんは言う。

「田んぼを畑にするとき、連作障害があると消毒するしかなくなるのですが、その場合、水田に戻しクリーニングをすればいい。客土はせず、排水して高く畝を作り、マルチ栽培にして通路を広く取るんです。新潟県は米どころで籾殻は余るほどあるから、通路を兼ねて籾殻を撒けば堆肥にもなるんですよ」と清田さん。

畝と畝の間に敷いている籾殻。これが良い堆肥となっている。

そして昨今、肥料の値段高騰が話題だが、「栽培部分だけ局所施肥すれば無駄なく省力でできる」と清田さんは言う。また、「病気が発生してもこの圃場は2m間隔で栽培していて広いので、横にずらせばいいだけ」とも。圃場では密集させるとどうしても病害が増えてしまうため、畝幅に2m間隔の余裕を持たせて土地をリッチに使っているのだ。病気が発生すると農薬が必要となり、その手間で手が回らなくなるというわけだ。さらに余計な草が生えるため、通路は作らないようにしている。すると干ばつ対策にもなるので一石二鳥なのだそうだ。清田さんは上記のポイントの他、まずは基本の土作りで土壌を肥沃に、病害耐性をつけているため、連作も実現できている。これがまさに省エネ栽培方法で、連作障害対策も兼ねているのである。

水田があったことを物語る水栓。
主に使っている肥料。「ハイグリーン」、「母肥力10」、「腐植無双 極」、「ボカシ大王エコS」、「ハニー・フレッシュ」、「HS-2®️プロ」など。

肥沃な土壌と病害耐性を強固にするための施肥にはコーティング肥料は使わないというこだわりようだ。欠かせない肥料・土壌改良材は、「ハニー・フレッシュ」、「腐植無双 極」(以上、販売総代理店は小西安農業資材(株))、「ぼかし大王®️エコ」、「乳酸卵殻」(以上、川合肥料(株))、「HS-2®️プロ」((株)ケーツーコミュニケーションズ)、「母肥力10」、「ハイグリーン」(以上、エムシー・ファーティコム(株))など6種類。追肥も消毒も潅水もほぼしていない。これらの肥料のおかげで土壌の団粒化ができ、手入れの不要な理想的な土壌となるため省力化を実現できている。

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