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渡辺和彦の篤農家見聞録

リン酸の葉面散布でナスを安定生産

公開日:2023.10.24
高知県安芸郡でナス栽培を手がける陸野貢さん。伝統農法と最新技術の合わせ技で安定生産を実現。 (画像提供/(株)古田産業)

今回、訪ねたのはナスの産地として知られる高知県安芸郡。三要素のひとつ、リン酸の葉面散布によりなり疲れ、病気知らずで安定収量を得ている陸野貢さんにその栽培技術を伺った。

2023年6月上旬、「高知土壌医の会」(会長・山崎浩司氏)から講演依頼を受け、久しぶりに高知県に訪問する機会を持つことができた。そこで数年前から筆者が懇意にさせていただいている(株)古田産業の古田信廣社長に篤農家の紹介を依頼したところ、葉面散布技術を取り入れてナスを栽培されている陸野 貢むつ の  みつぐさんをご紹介いただけることになった。

まずは陸野さんの栽培の特徴()と、土壌分析結果(表1)および施肥設計(表2)をご覧いただこう。

陸野さんは、ビニルハウスによる促成栽培ナスをはじめて25年になる。古田社長とは2000年くらいからのお付き合いだそうだ。最初は「ナスの葉を販売できたら良いのに」と古田社長から言われたほど大きく立派な葉の樹勢のナス(栄養成長型)を栽培されていた(リン酸が樹体に不足し、窒素過多で葉が大きくなっていたのだ)。やがて古田社長のアドバイスで、葉の大きさは小ぶりで肉厚、葉が立った受光体勢に有利な樹勢(生殖成長型)となり、現在は図のとおり、10a当たり500万円以上の売り上げを誇る。

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