HOME 読みもの カルチべ市場動向 【関西 野菜】シュンギク カルチべ市場動向 【関西 野菜】シュンギク シュンギク 公開日:2024.3.27 そして、意外なことのように思われるかもしれないが、シュンギクの生産量は大阪府が全国で一番多い。大阪市東部市場に入荷してくるシュンギクも、大阪府産が6割を占めている。 これは葉物野菜なので鮮度が重視されるということもあるのだが、関西以外の地域で作られている品種が大阪人の好む株張中葉とは異なることも要因の一つだ。 実際に切れ込み小葉の品種はすき焼きや鍋ならおいしく食べられるのだが、和え物を作ったりサラダ風にして食べると、硬くて酸っぱくて「おいしい」とは言えないものになってしまうことが多い。 ならば夏場でも需要があってたくさん作られているのかというと、冬野菜のイメージが強く、夏場はほとんど流通していない。高冷地などの夏産地のものもほとんど入荷はないというのが実状だ。 全国的にも夏場は需要がないからだと思うが、他の葉物野菜のホウレンソウやコマツナなどと違って夏用の品種というものが存在しないに等しい。 それが気候変動の影響で栽培が困難になってきていることに拍車をかけており、大阪の産地としては夏場も含めて周年栽培したいという意向もあるようだが、なかなか実現は厳しい。 さらに、冬場の利用に関しても年々需要が落ち込んでいる。 他に安価で利用しやすい葉物野菜が多く存在しているので、シュンギクでなければならないという理由がなくなってきているためだろう。 シュンギク好きとしては残念でならないが、夏場だけでなく季節を問わずに栽培が難しくなってきているので、生産者としても他の品目に移行するという人が増えていることも仕方がないのかもしれない。 個人的には種苗メーカーの方に、周年安定供給できる株張中葉タイプのシュンギクの育種をお願いしたいと考えているところだ。 著者プロフィール 新開茂樹(しんかい・しげき) 大阪の中央卸売市場の青果卸会社で、野菜や果物を中心に食に関する情報を取り扱っている。 マーケティングやイベントの企画・運営、食育事業や生産者の栽培技術支援等も手掛け、講演や業界誌紙の執筆も多数。 1 2 3 4 この記事をシェア 関連記事 2024.3.28 【関西 果実】清見 大阪市東部市場に入荷してくる「清見」の入荷量の推移を見ると、隔年結果の影響や年に […] ミカンオレンジ清見 2024.3.19 【関東 切り花】ストック このブラウン系の品種「ヴィンテージブラウン」は、アレンジの挿し色としてギフトや装 […] ストック 2024.2.29 【関西 果実】紅ハッサク 「紅ハッサク」の存在は意外と知られておらず、入荷量としてはハッサクと同じくらいな […] カンキツ類ハッサク紅ハッサク