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子実と穎果

公開日:2019.10.17

需実作物 種子や果実を収穫対象にして栽培する作物を需実作物という。この作物には果樹、果菜類、種子を食用にするイネ科植物やマメ科植物などがある。

成熟すると果皮が液質や多肉質になる液果や核果、および子房以外の器官が融合した集合果や複合果などでは、種子と果実は丸ごと利用する。成熟した果皮が木化した堅果や、乾燥して膜状になった朔果、豆果、長角果、分離果、穎果、そう果などでは、果実から種子を取り出して利用する。

穀物 種子を食料とするために栽培する作物を穀物という。穀物の範囲を狭く限定して適用する場合は、単子葉植物のイネ科植物の果実だけを対象にし、この果実を穎果または穀粒という。この穎果を調製して取り出した種子を禾穀類という。この例には稲、麦、トウモロコシ、アワ、ヒエ、トウジンビエ、シコクビエ、キビなどがある。

穀物を広義に適用する時は、禾穀類に加えて、種子を食料として利用するマメ科作物の種子(菽穀類、豆類)や、他科の双子葉植物が産する種子が加わる。菽穀類にはエンドウ、インゲン属、ヒラマメ、ソラマメ、大豆、小豆、ハウチワマメ属、ラッカセイなどがあり、大粒種子を産する種が人類の食用となっている。(菽は音読みで「まめ」であり、豆の字より古い。)

双子葉植物の産する種子を擬禾穀類あるいは擬似穀類という。擬似穀類には、クリ(ブナ科)、トチ(トチノキ科)、ソバ(タデ科)、ゴマ(ゴマ科)、アマランサス(ヒユ科)、キヌア(キノア、アカザ科)などがある。したがって広義の穀類は、禾穀類、菽穀類と擬禾穀類を合わせたものになる。

穎果 開花し受精した後に子房が発達すると果実になり、子房内の胚珠が発達すると種子になる。イネ科植物では子房壁から発達した果皮が薄い膜状となり、珠皮から発達した種皮と密着して、一体化した透明な果皮となって種子を包む。イネ科植物に特異的に認められるこの型の果実を、穎果あるいは穀粒と呼ぶ。またイネ科の果実は子実ともいう。

なお、イネ科種子では穎果から種子だけを取り出すのが難しいので、穎果あるいは穎果に内・外穎などを付随させた籾などを繁殖用の「たね」として用い、これらを農業上の種子と表現している。

子実 禾穀類やマメ類、ならびに擬禾穀類などは食用に供する穀類であるが、作物学ではいずれも子実と称し、種実または穀実とも呼ぶ。禾穀類は穎果という果実であり、菽穀類(豆類)は種子であって果実は豆果という莢である。子実という語は「穀類の子実収量」、「穀類子実の成分含量」などと、作物の生産や利用分野で多用されている。種子と果実が一体化した器官を意味する用語として子実があるなら、禾穀類には合った表現といえる。植物形態学の用語には子実はなく、果実および種子である。

『農耕と園藝』2017年9月号より転載

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