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イチゴの流れを変える秩父の「あまりん」 埼玉県秩父市・和銅農園

公開日:2023.10.1 更新日: 2023.9.25

苗の数を年々倍増。専用ハウスを新設

田口さんは初年度に苗400本、翌年は1300本、次は2600本、5000本、そして22年9月15日には1万本の苗を定植。毎年倍増させながら栽培する株数を増やしてきました。

その訳を訊ねると、田口さんは、
「いい品種だからです」

ときっぱり。この品種に可能性を感じて、5年前に500坪の専用ハウスを新設。そこにイチゴの専用培土を入れて苗を育てています。溶接の仕事の経験もある田口さん。培土を入れるベンチは、すべて自力で組み立て設置。屋根のビニルの張り替えも、遮光ネットを動かすワイヤも自ら設置しました。

「ハウスのメンテナンスは極力自前で」がモットーです。

「あまりん」に可能性を感じ、8年前から着々と生産量を増やしてきた田口さん。

和銅農園は毎年12月〜5月のイチゴシーズン終了時期まで摘み取りを行っています。他の品種は通常料金(小学生以上1300〜2000円。価格は取材時のもので、時期により異なる)で摘み取りできますが、「あまりん」に関しては予約が必要で別料金を設定。それでも人気は高く、多くの人がこの品種を目当てにやってきます。

多様な要素を自動で測定し、換気や水分調整を行う環境制御装置を導入。離れた場所でもスマホでチェック。
ハウス内の水分量を測定し、微細な粒子のミストを噴霧。

あまりんは、通常1月上旬に収穫が始まりますが、それを摘み取り開始時期に合わせて1カ月早めるために、専用の夜冷庫を導入。育苗期間中の8月中旬、クーラーをかけ低温を経験させることで、開花時期を早めています。

温度、日射量、CO2量や飽差を測定し、適度な数値に保つ環境制御システムも導入。天窓を開けると乾燥しがちなハウスで飽差を測定し、必要に応じて頭上に設置したパイプからドライミストを噴射。その場にいても「濡れた」と感じないほど微細な粒子の水滴が「あまりん」に降り注ぎます。

なのでハウスの環境データは、田口さんが他のハウスや売り場にいても、スマホの画面で状態を確認して、循環器や暖房機もコントロールすることができます。

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